第52章 女王降臨……

鈴木瑠璃は頷いた。「いいわよ!」

こんなにすんなり承諾されるとは思っていなかったのか、少年は一瞬呆然とした。その美しい瞳は興奮で赤く潤み、鼻声で沈んだ声で言った。「実は僕……」

彼は言いたかった。実は僕はBOSS様から送り込まれたスパイで、あなたを監視するために来たんだ。どうしてそんなに簡単に僕を信用できるの?

島井凛音はとても辛かった。不機嫌そうにケーキを置くと、黙って頭を下げ、ドアを閉めて出て行った。

甘音のミニケーキを食べながら、瑠璃は小さな金属のフォークを置き、考えた……この子は機嫌が悪いのかしら?

日差しは心地よく、そよ風は爽やかだった。

リゾート山荘は緑に溢れ、広大な敷地を誇っていた。セレブな令嬢たちとお金持ちの若者たちがプールサイドでパーティーを開き、時折女性の笑い声と男性のはやし立てる声が聞こえてきた。

丁野遥は薄い青色のセパレート水着を着て、同じ色合いのカクテルを手に、隣の赤いドレスを着た女の子に尋ねた。「意子、瑠璃は来た?」

真田意子と呼ばれた女性が振り向いた。「今電話したところよ。来るって言ってたわ!」

ふざけた態度の若い男性が近づいてきた。「なんで鈴木瑠璃を呼ぶんだよ?陸田様と楚田汐もいるって知らないの?わざわざ二人に不愉快な思いをさせようとしてるんじゃないの?」

「それがどうしたの?避けるべきなのは楚田汐の方でしょ!」遥は正論で反論した。

「はっ、丁野お嬢様、あなた瑠璃の親友のくせに、二人が離婚したばかりだって知らないの?今頃彼女は家で泣いてるんじゃないの!」若い男性は頭を振り、別の場所へ歩いていった。

遥はしばらく我に返れなかった。「瑠璃、離婚したの……?」

瑠璃はあんなに陸田謹言のことが好きだったのに、これから彼女が来て、謹言と汐がイチャイチャしている場面を見たら、どれほど傷つくことか。

意子も困惑していたが、我に返るとすぐに携帯電話を取り出した。「遥、急いで瑠璃に電話して来ないように言った方がいいわ!」

「そうね、早く電話して!」

ちょうどその時、南東の方角から心地よく美しい声が響いた——

「遥、意子、二人ともいたのね。」