第123章 最もイケメンな男を口説く

陸田子墨は目の前で動じることなく座っている女の子を信じられない思いで見つめていた。彼女を明日から技術部で働かせるべきだろうか?

島井凛音も呆然とした表情を浮かべていた。

ネットワークセキュリティ担当者の実力はハッカーよりも高いのが普通だ。特にAFのような世界的な大企業では、コンピューターの専門家たちはエリート中のエリートで、腕利きが集まっている。

姉の実力は国際的なトップクラスのハッカーを圧倒するレベルだった。しかも彼女が酔っている状態で……

陸田子墨は向こう側からの報告を聞きながら、うんと一言答えた。「わかった、警察には通報するな」

「通報しないんですか?」向こう側のセキュリティ担当者は驚いたようだった。すると上司からさらに指示が続いた。「彼女が好きなだけ資金を移動させろ。私の個人口座で補填する」

セキュリティ担当者:「……」

凛音:「……」社長、色に目がくらんだ昏君!

鈴木瑠璃の気まぐれな行動のせいで、AF技術部の全スタッフは悲鳴を上げ、人生を疑いながら、徹夜で技術的な脆弱性を修正する羽目になった。

「楽しい?」瑠璃はにこにこしながら子墨に尋ねた。

子墨:「楽しいよ」

「私も楽しいと思う」瑠璃は笑いながら立ち上がり、男性の側に寄って、彼の肩に手を置き、甘い息を吐きながら言った。「子墨、あなたに口紅をくれた女のことは忘れて、私があなたを養うわ」

子墨の瞳の色が深まった。「……本当に?」

「もちろんよ、私の給料カードも全部あなたにあげる、どう?」瑠璃はまばたきしながら、まるで「私は本当に浮気者じゃないの、信じて」という表情を浮かべた。

子墨はじっと尋ねた。「じゃあ……木村佑は?」

瑠璃は彼の目を見つめ、その眩しいほどの美しさに目を奪われた。「ねえ、何て言ったの?」

子墨は無表情で言った。「白いロングドレスをプレゼントして、パーティーに女性の同伴者として出席し、堂々とあなたを抱えて家に帰った男だ」

凛音:「……!」

やばい!社長はやっぱり知っていたんだ!

何事も彼から隠し通せるわけないよね、うぅ。

凛音は姉が社長をなだめて、木村とは会社の同僚関係だけだと言うだろうと思っていた。

しかし……