朝方、空がぼんやりと明るくなり始め、一晩中降り続いた雨がようやく止んだ。
鈴木瑠璃は早起きして、螺蛳粉(ラーソーフェン)を一杯作り、中庭でゆったりと椀を持ちながら、一本一本ゆっくりと麺をすすっていた。
「ただいま」
玄関から一人の少年が入ってきた。端正な顔立ちで、肌は白く美しく、英国風のサスペンダーパンツはしわひとつなくアイロンがかけられ、鼻梁には金縁の眼鏡をかけ、遠くから彼女を見つめていた。
「凛音、朝ごはん食べた?」瑠璃は椀を持ったまま、顔を上げて彼を見た。
島井凛音の表情は冷ややかで、うんと一言だけ返し、うつむいて別荘の中へ入っていった。
瑠璃はにこやかに微笑んだ。凛音は帰宅する前と比べて少し変わったような気がしたが、具体的にどう変わったのか、彼女にもよく分からなかった。
この奇妙な感覚は、午後4時過ぎに確信へと変わった。
瑠璃が仕事中、突然警察署から電話がかかってきた。凛音が人を半殺しにしたので、すぐに来てほしいとのことだった。
彼女は水を飲む暇もなく、急いで警察署に駆けつけると、花のように美しい少年が目を赤くして立っており、手には買い物袋を提げ、目の奥に宿る殺気に背筋が凍るほどだった。
怪我をした相手は中年男性で、病院の診断書によれば肋骨を二本折られ、顔は凛音に殴られてブタのようになっていた。被害者の家族は50万円の賠償金を要求し、さもなければ裁判所で会おうと言っていた。
相手の家族の感情を落ち着かせた後、瑠璃は入院費を支払い、凛音は黙ったまま彼女の後ろについてきた。
心身ともに疲れ果てて家に帰ったのは、すでに夜だった。
瑠璃は眉間をつまみ、ソファに座った。「話してみて、今日何があったの?」
「あいつは死ぬべきだ!」凛音は冷たく一言残すと、振り返って寝室に入り、ドアを乱暴に閉めた。
瑠璃は長い間言葉が出なかった。
彼と話そうとしても、ドアの向こうからは何の反応もなく、以前の甘えん坊の子犬のような彼とは正反対の人物になっていた。
さっきの少年の眼差しを思い返すと……
かつてリゾート山荘で、横柄な若者を懲らしめた時の眼差しとそっくりだった。冷酷で、冷たく、魂の奥底から恐怖を感じさせるものだった。
どちらが本当の彼なのだろうか?
深夜。