第22章 私を助けているの？

しかもこの泥棒が言い出したこれらのものは、すべて彼女が心を込めてデザインした作品で、どれも巨額の費用がかかっており、共通点がある。キラキラと輝き、独特な形をしている。

マジで彼女の熱心なファンじゃないか！

永川安瑠は立ち上がり、泥棒の太ももを一蹴りした。「物を盗むなんて、このクソ野郎。アンクルにこんなファンがいるなんて恥ずかしいことだって分かってる？好きだとしても絶対に盗んではダメ、あなたのこんな行為はアンクルの顔に泥を塗っているんだよ、分かる？！」

橋本南は口角を引きつらせた。永川さんは本当に...豪快だな。

泥棒は安瑠に蹴られて顔をしかめ、痛みで体を丸めた。しかし安瑠が、彼がアンクルに恥をもたらし、アンクルの顔に泥を塗ると言ったとき、彼は一気に慌てた。

「アンクルが、僕を嫌うの？」泥棒の目に迷いの色が浮かんだ。彼はアンクルの作品をとても崇拝し、好きで、アンクルは彼の憧れだった。自分の憧れの人に嫌われることは、ファンにとって非常に辛いことだ。

安瑠は軽く鼻を鳴らし、彼を相手にする気はなかった。彼女は聖母ではないし、前科たっぷりの泥棒を弁護するつもりもない。彼の体の傷跡があまりにも多くなければ、もう一度蹴りを入れたいくらいだった。

「質問は終わりました。この人を連れて行ってください」安瑠は武内衍の前に歩み寄り、先ほどの威勢のいい態度をすぐに収め、おとなしく彼の前に立ち、柔らかな声で言った。

衍は淡々と「うん」と返事をし、南に視線を送ってから言った。「会場にいる全員を再配置して、5分後にはこの人たちがまだここにいるのを見たくない。特に彼らをだ」

衍の意図は明らかで、責任者と安瑠を陥れた管理者に向けられていた。

南はすぐに頷き、すでに呆然自失と後悔の色を浮かべている責任者と管理者を強制的に連れ出し、追い出した。

「衍、これって私の仇を討ってくれてるの？」安瑠は衍を見つめ、両目が三日月のように細くなり、まるでお菓子を食べた子供のように、甘く微笑んだ。

「君のために？」衍は絵のように美しい眉を寄せ、彼女の言葉の意味を考えているようだった。なぜか安瑠の心は不安になり、良くない予感がした。

案の定、彼女は衍のあの冷たく淡々とした声で言うのを聞いた。「君は自分を買いかぶりすぎだ」