第47章 Qバージョンの永川安瑠

上のQ版永川安瑠は、小さな唇を尖らせて不満そうな表情を作り、目には涙をためていた。とても可哀想な様子なのに、その目からは狡猾さと悪趣味が垣間見えた。

Q版永川安瑠の下には小さな文字が書かれていて、武内衍はじっと見つめ、瞳孔が少し縮んだ。

「許我半世深情，還你永世安笙」（半生の深い愛情を私に許し、永遠の安瑠をあなたに返す）

この言葉は彼が彼女に贈ったもので、当時は遠回しの告白だった。でも永川安瑠はその時どう答えたのだろう？

「この言葉、意味が深すぎるわ。翻訳してくれない？私、こういう古文とかよく分からないの…」

古文…

衍は決して軽々しく愛の言葉を口にしない人だった。珍しく言った一度が、あの薄情な娘には理解できない古文として扱われてしまった。

衍は指をそのQ版イラストの仕切りに入れ、イラストを取り出した。

そして、バックパックを開けると、中には水色の弁当箱が一つだけあった。

衍は弁当箱を取り出し、バックパックを脇に置いてから弁当箱を開けた。四段重ねになっていて、全部広げてみると、おかず三品と汁物一品、小さな器にはご飯も入っていた。

見た目も香りも味も完璧で、冷めていても見ているだけで食欲をそそられた。

永川安瑠と永川安暁が家政婦に料理を頼むはずがない。ということは、この料理は安瑠が自分で作ったのだろうか？

衍は眉を上げ、弁当箱に入っていた箸を取り、甘酢ポークを一切れつまんで、何の躊躇もなく口に入れ、ゆっくりと噛みしめた。

冷めていて、味も最高とは言えなかったが、衍は食べながら、目が少し遠くを見つめるようになった。

三年ぶりに会った、いつも彼にまとわりついて甘えたり駄々をこねたりしていた少女は、最も面倒くさがっていた料理さえも覚えていた。

——

永川安瑠が安暁の芸能界での活動を認めて以来、彼はまるで狼の血が注入されたかのように変わった。以前は控えめであることを重視していたが、今では意図的に目立つことを隠さず、以前よりもさらに努力するようになった。

もしロートが事情を知らなければ、安暁が何かに取り憑かれたのではないかと思うほどだった。