展覧会の後、すべては通常通り進み、デザイン図を見る作業も一段落し、永川安瑠はようやく気が楽になった。
この一件で、安瑠の名前は一時的に翡翠中に広まった。彼女の実力とデザインの才能は誰の目にも明らかで、もはや誰も疑うことはなかった。このコーエンノールの新星が、必ず自分の輝きを放つことを。
そしてニロについては、よく言ったものだ。自業自得、自分で掘った穴に自分で落ちる。評判は台無しになった。
安瑠が座ってからそう経たないうちに、葉山逸風が外から入ってくるのが見えた。穏やかな表情と上品な雰囲気を持ち、全身から言葉では表せない温かさが漂っていた。まるで春風のように心地よく、人を包み込むようだった。
彼はまるで温かい翡翠のようで、全身から春風のような気品が漂い、思わず近づきたくなるような人だった。
「安瑠、さっきはお疲れ様。」逸風はオフィスに入ると、彼女に微笑みかけた。「ニロへの処分が決まったよ。私たちは全会一致で彼女に退職を勧めることにした。もちろん、この件で最も発言権があるのは君だ。何か意見があれば、遠慮なく言ってくれていい。」
彼女に意見があるだろうか?
取締役会はすでに決定を下した。彼女の意見はそれほど重要ではないと安瑠は十分理解していた。
「特に意見はありません。」安瑠は淡々と微笑み、逸風の手招きを見て立ち上がり、ソファに座る彼の方へ歩み寄った。
「社長、何かご用でしょうか?」
逸風は軽く頷き、優しい声で話し始めた。「安瑠、君のデザインの才能は私たち全員が目の当たりにした。」
彼の最初の言葉でこれから何を言おうとしているのか、安瑠はうっすらと予想がついた。彼女は目を伏せ、長くカールした睫毛がわずかに震えたが、答えはしなかった。表情は静かで、まるで谷間で静かに咲く蘭の花のように、言葉にできないほど上品で清楚だった。
「私は思うんだが、君はペンを持ってデザインを試してみるべきだ。手の怪我はいつか治る。心の傷も同じだ。乗り越えられないものなんてない。」逸風の声はゆったりとして、まるで清風のように癒しの気配を帯びていて、聞いていて心地よかった。
以前なら誰かがこんな風に諭したら、安瑠はすぐに苛立っていただろう。しかし逸風の声は穏やかで優しく、少しの強制力も感じられなかったため、安瑠の心にはそれほどの抵抗感はなかった。