第132章 ただの戯言!

話し始めたのは、ずっとニロを見ていた役員の一人だった。彼はニロに非常に興味を持っているようで、その言葉を言った後、ニロに暗示的な視線を送った。

ニロは全身が肉で覆われ、異常に丸みを帯びた体型で、露骨な視線を送ってくる役員を見て、心の中で嫌悪感を覚えたが、それでもその役員に微笑みかけざるを得なかった。

役員はすぐに心が震え、肉のたるみだらけの顔中にしわが寄るほど喜び、ニロを見る目はますます露骨になった。

「もっともな意見です。ここには部外者もいますし、葉山社長、部外者に我々の恥を見せるわけにはいきませんよね」藤原取締役が口を開き、意味ありげに橋本南を見た。

葉山逸風はしばらく考え込んだ後、頷いた。「この件は一旦保留にしましょう。安瑠、ニロ、二人はまず戻りなさい。私が役員たちと相談した後で結果を伝えます」

「はい、葉山社長」永川安瑠は異議なく、この結果にも驚かず、頷いて返事をし、ニロを一瞥してから展示ホールを後にした。

ニロはすでに相応の罰を受けていた。跪いて謝罪するよりも、今後会社で二度と顔を上げられず、人々の指さしを受けることは、おそらく同じように苦痛だろう。

跪いて謝罪するという賭けを履行させなかったが、安瑠はしつこく追及することなく、良い所で引き下がった。結局、彼女自身はそれほど大きな損失を被っていなかったのだから。

そして再び筆を取った。

ニロはオフィスに戻る顔がなく、どこかの隅に隠れて、ずっと姿を現さなかった。

葉山逸風と橋本南が花瓶の件で合意に達し、この一件がようやく一段落したことを知った。

橋本は笑顔で翡翠を後にしたが、一歩外に出るとすぐに笑顔が崩れ落ちた。

彼はますます理解できなくなっていた。社長が当時放心状態にあった安瑠を目覚めさせたかったのなら、他のものを壊せばよかったのに、わざわざ相手の宝物を壊すなんて、価値は1億円を超えるのだぞ!

もしかして高価なものほど壊すと効果があるとでも言うのか?

まったくのたわごとだ!

橋本は不満げに地下駐車場まで歩き、控えめで上品なワールドデュークを見つけると、そちらに向かって歩いた。