森斉史は胸の袋をさらに強く握りしめ、相変わらず黙ったまま、前方をまっすぐに見つめていた。
森里竹は中身を見ることができず、少し嫌そうに口をとがらせた。「無口な奴め、どうして若様は僕をお前とコンビにしたんだ?もしかして前回、永川さんへのプレゼントを届けられなかったことで罰を与えているのか?僕は一体何の因果があるんだよ〜」
里竹のおしゃべりに比べ、斉史ははるかに静かだった。彼の視線は頑固で鋭く、人形のような顔には余計な表情がなく、その幼い顔がもったいないように思えた。
彼はもっと老成しているべきだろう。
「おい、斉史、返事の一つくらいくれたって死なないだろ?」里竹はつまらなさそうに目を見開き、斉史と喧嘩する構えを見せた。
「うるさい」斉史は唇を動かし、二言だけ吐き出すと、窓の外を見た。
里竹は「……」となった。
——
永川安瑠は午後の出勤時間に間に合うようにタクシーに乗ったが、翡翠に着くと、秋宛から葉山会長が来ており、今社長室にいると告げられた。
安瑠は手を抜くことができず、最高級の普洱茶を選んで淹れ、社長室へと向かった。
「お前はそんな風に祖父に話すのか?!」突然、中から怒りの声が聞こえ、安瑠は足を止めた。
どうやら葉山お爺さんの機嫌も気分もあまり良くないようだ。彼女は十分注意しなければならない……
しかし、ことわざにもあるように、福は福、災いは災い、逃れられないものは逃れられない。
安瑠はお茶を持ってドアをノックし、社長室に入ると、さっと目を上げて中の様子を確認してすぐに頭を下げた。
葉山お爺さんはソファに座り、両手で杖を支え、厳しく威厳のある表情で、彼の前に頭を下げ、まるで子供のように叱られている葉山逸風を怒りの目で睨みつけていた。
安瑠が入ってくると、お爺さんは怒りの視線を引き、彼女を見て、じっくりと観察し始めた。
お爺さんの厳しい視線があまりにも直接的で、安瑠は耐えられなくなりそうだったが、強引に茶器を置き、お爺さんにお茶を注ぎ、両手でカップを差し出した。「葉山会長、どうぞお茶を」
お爺さんは鋭い目を細め、安瑠がお茶を持つ動作と姿勢を見て、評価の色が閃いた。
逸風は安瑠がこのタイミングで入ってくるとは思っていなかった。彼の穏やかな目には心配の色が浮かび、祖父が安瑠を傷つけるのではないかと懸念していた。