第176章 もう一度私を好きになってくれませんか

パーティー会場で、あの数人の様子がおかしいことに気づいた永川安暁は、永川安瑠を探しに行こうとしたが、業界の人々に足止めされてしまった。やっとのことで抜け出し、パーティー会場を出ようとした時、武内衍と森秋陽が戻ってくるのを見かけた。

「どうしたの?安瑠ちゃんは一緒じゃないの?」秋陽は急いで飛び出してきた安暁を見て、すぐに彼を引き止めて尋ねた。

「武内さん、森さん」安暁は足を止め、二人の後ろを見渡しながら、眉間にさらに深いしわを寄せた。「あちらから来たんですよね?姉を見かけませんでしたか?」

衍の冷たい視線が彼に向けられ、鋭さを増した。「何があった?」

「姉さんはさっきあなたたちを探しに行くと言って、まだ戻ってきていないんです」もしあの人たちに足止めされていなければ、安暁はきっと安瑠を見つけられていただろう。

今となっては、あの人たちがあの集団と一味であったのではないかと疑っていた。

「彼女が出て行ってからどれくらい経った?」衍はすぐに尋ねた。

「10分ほどです」安暁は時間を計算し、心の中で大変なことになったと叫んだ。

もしあの集団が本当に計画的だったとしたら、10分もあれば、多くのことができてしまう。

「君はあちらに行って彼女がまだそこにいないか確認してくれ。もしいなければ、監視室に来てくれ」衍は目を細め、安暁にそう言うと、先に歩き出した。

「はい...」承諾した安暁はようやく気づいた。どうして知らず知らずのうちに衍の言うことに従っていたのだろう?

安暁は噴水庭園を一通り探したが、安瑠を見つけることができなかった。ある茂みの近くを通りかかった時、地面に光るものを見つけた。

安瑠のスマホだった。

周囲には不揃いな足跡があり、非常に乱れていた。安瑠が強制的に連れ去られた可能性が高いことを示していた。

安暁は近くの木の幹を強く殴り、スマホを持ってパーティー会場に戻り、監視室へ向かった。

監視室のカメラには、30分前に安瑠がここを出て噴水庭園へ向かう姿が映っていたが、その後の映像は誰かによって意図的に破壊されており、手がかりは何も見えなかった。

「パーティーに怪しい人物が紛れ込んでいなかったか?」秋陽は衍の険しい表情を見て、これは大変だと思い、恐る恐る会場のマネージャーに尋ねた。