第178章 これ……これは結婚証？！

それは初めてのことだった。民政局に来たのに、何をしに来たのかわからない花嫁を見るのは。

永川さんよ、あなたは寝ぼけているのですか？

さらに重要なのは、あなたとBOSSはまだ結婚したこともないのに、何の離婚ができるというのですか？この思考回路は長すぎる。

武内衍の関係で、民政局は事前に彼らのために手配をしていたため、列に並んで待つ必要はなく、すぐに手続きが完了した。

永川安瑠は道中ずっと呆然としていて、書類に記入する時でさえ名前を間違えそうになった。もし衍が見ていなかったら、彼女は自分の性別さえ間違えて書いていたかもしれない。

「これは...離婚証明書？それとも何の証明書？見覚えがあるような...」安瑠は呆けたように手の中の赤い小冊子を見つめ、振り返って衍に尋ねた。

衍はもうこの女性に我慢できなかった。周囲から投げかけられる奇妙な視線を無視して、安瑠の手を引いて民政局を出た。

橋本南も思わず顔を覆った。恥ずかしすぎる、本当に恥ずかしすぎる。結婚証明書を離婚証明書と勘違いするなんて、安瑠のような奴しかいない！

「衍、これ...これは結婚証明書？！」車に戻ると、安瑠は赤い小冊子を開き、その内容を見て目を丸くし、そこに書かれた文字を指さして衍に尋ねた。

衍は冷たく鼻を鳴らし、不機嫌そうに彼女を一瞥して、南に車を発進させるよう合図し、彼女を無視した。

入ってから出るまでわずか十数分の時間だったが、この女性の反応はあまりにも鈍すぎた。今になってようやく気づいたのだ。

「おかしいわ...なぜ私と結婚したの？前触れもなく、私はまだ夢を見ているのかしら？」彼女は二日二晩眠っていたと聞いていたので、これがただの夢である可能性はないだろうか？

衍がなぜ突然彼女と結婚するのだろう？

一気に地下の恋人から正式な妻へと昇格した、このギャップは...

衍はそれを聞くと、片手を空けて彼女の柔らかい頬を強く摘んだ。「まだ夢だと思う？」

安瑠は呆然と首を振った。夢ではない。

彼女は実際に...

「私は一気に未婚から既婚になったの？！男神に追いかけられる独身生活を楽しむ時間がほとんどなかったわ！」安瑠は興奮のあまり、心の中で文句を言っていたことをうっかり口に出してしまった。

車が公道に乗ると、衍は顔を曇らせて振り向き、安瑠を見た。「今何て言った？」