「お嬢さん、この天気で外に出れば間違いなく雪に埋もれてしまいますよ。どうしても出るというのであれば、その際に何か問題が生じても当スキー場は一切責任を負いかねます」管理人は態度を硬化させ、森悠由に言った。
こんな天気では、誰であれ、生きたいと思う者なら一歩も外に出ようとはしないだろう。
死にたい人間だけが外に飛び出すのだ。
悠由はその言葉を聞いて、小さな顔がさらに青ざめ、心の中で葛藤した。
どうしよう?出るべきか?もし衍兄さんを見つけて連れ戻せたら、きっと感謝してくれるはず!
でも外の天気はあまりにも恐ろしい。万一見つけられずに自分まで犠牲になったらどうする?まだ若いのに、こんな場所で命を落としたくない……
長い葛藤の末、悠由は両手を強く握りしめ、精一杯の笑顔を浮かべて管理人を見た。「やめておきます。ここで友達を待ちます」
そう言って彼女は踵を返した。
……
暖かいスキーロッジの中とは対照的に、スキー場内では時折遠くで雷鳴が轟き、人の心を苛んだ。永川安瑠は手足の痛みに耐えながら必死に前へと滑り続けた。
ヒューヒューと冷たい風が吹き、空からは雪が舞い始め、骨まで凍えるような寒さだった。
安瑠は自分の手足がもはや自分のものではないかのように感じ、冷たく硬直し、滑る動作もだんだんと緩慢で力のないものになっていった。冷たい風と雷鳴は、今日この場所で命を落とすかもしれないという恐ろしい予感を彼女に抱かせた。
諦めるのか?
もちろん諦めない!
安瑠は歯を食いしばり、前進し続けた。最後には邪魔なスキー板を捨て、ストックを支えにして一歩一歩前へと走った。どんどん遠くへ進んでいったが、灰色の空は彼女から方向感覚を奪い、自分がどこにいるのかもわからなくなった。
彼女はまるで果てしない雪の海に浮かぶ一枚の羽毛のようで、少し風が吹けば散らされ、もろく崩れてしまいそうだった。
しかし安瑠は諦めなかった。このような過酷な自然環境に屈するつもりはなかった。
これよりもっと恐ろしい人の心も経験してきたのだ、こんなものが怖いはずがない。
永川安瑠、頑張れ!
吹雪はますます激しくなり、雪を含んだ冷たい風が絶え間なく安瑠の小さな顔を襲った。ゴーグルにも雪が付着し、一部は襟元から首筋に入り込み、冷たさが広がった。