「みんな望未のことが好きで、望未が褒めるのは嘘じゃないよ」望未は小さな唇を尖らせ、希未の表現に不満そうな顔をした。
望未は身を乗り出し、小さな足をガラスのカウンターの前で宙に浮かせてぶらぶらさせながら、コンピューターの画面をさっと見た。画面には多くの数字が表示されていて、彼女はちらっと見ただけでおおよその数字を覚えた。ふっくらとした小さな両手でお札を抱え、無邪気に笑っていた。
チリンチリン。
入り口の上に吊るされた風鈴が澄んだ音色を響かせた。この音を聞くと、希未と望未はお客さんが来たことがわかった。
「お兄ちゃん、望未のお金を大事にしてね」望未は名残惜しそうに手に持っていたお札を希未に渡し、小さな足をバタバタさせてガラスのカウンターから飛び降り、振り返ってお客さんを迎えに行った。
来たのは一人の男性で、とても平凡な顔立ちだったが、その目には貪欲な光が宿っていて、見ただけで好感が持てなかった。
望未は甘くて可愛らしい笑顔を浮かべ、小さな顎を上げてその男性を見上げた。「おじさん、こんにちは。奥さんへのプレゼントですか、それともお母さんへのプレゼントですか?」
男性は望未の言葉を聞いて笑いながらしゃがみ込み、彼女に尋ねた。「お嬢ちゃん、どうして僕が奥さんやお母さんに買うって分かったの?自分のために買うんじゃないかもしれないのに」
「だってね、おじさんの指に指輪があるもん。これはおじさんが結婚してるってことでしょ?奥さんにもお母さんにも買わないなら、もしかして愛人に買うの?」望未は大きな目をパチパチさせながら、一気にそう言い切った。この言葉の中には彼女が理解できない意味がたくさんあったけれど、テレビドラマではみんなそう言っていたじゃない?
彼女の真面目くさった様子を見て、カウンターの後ろで帳簿をつけていた希未は思わず首を振った。また一人、望未の純真な外見に騙される人が出るようだ。
男性はすぐに笑い出し、手を伸ばして望未の小さな頭を撫でながら、目に抜け目ない光を宿らせた。「お嬢ちゃん、じゃあ僕にこの宝石について説明してくれない?」
「はい」望未は澄んだ声で答えた。