深谷千早は今日少し遅く目が覚めたため、配信ルームに行く時間も遅くなった。
配信ルームが設立されてからもう少し時間が経ち、会社の人も増えてきた。彼女は一人一人に仕事を割り当て、その後のKPIも設定して帰宅したが、その時にはすでに夜の9時を過ぎていた。
意外なことに。
藤原宴司が家にいた。
彼はワーカホリックだ。
毎日深夜まで残業するのは当たり前のことだった。
ある時期、千早は藤原宴司が単に彼女と同じ屋根の下にいたくないだけで、すべてのエネルギーを仕事に注いでいるのではないかとさえ思っていた。
千早も宴司に構わなかった。
どうせ離婚する関係なのだから。
彼女は直接自分の部屋に戻った。
「深谷千早」宴司が突然彼女を呼び止めた。
千早は足を止め、彼を見た。
「何も私に言うことはないのか?」宴司が尋ねた。
千早は一瞬戸惑った。
本当に意味不明だと思った。
彼に何を言えというのだろう?
昨夜、白井香織と浮気していたことについて?
なんだって?
良心の呵責を感じて説明しようというのか?
そう思った瞬間、千早はその考えを打ち消した。
そんなはずがない。
本当に気にかけているなら、今朝ニュースが出た時点で説明していたはずだ。わざわざニュースが消えるのを待って、自分から話題を持ち出す必要はない。
「離婚のことですか?」千早は眉を上げた。
宴司の表情が一瞬で最悪になった。
「そうでないなら、私たちには話すことは何もありません」
そう言い捨てて、千早は立ち去った。
他のことを話すのは時間の無駄でしかない!
翌日の早朝。
千早は深谷挙之介から電話を受け、早く帰ってくるように言われた。
彼女は深谷家の人々を嫌っていたが、深谷おじいさんは彼女を粗末に扱ったことはなかった。もっとも、特別に面倒を見てくれたわけでもないが。
彼女にとっては、虐待されなかっただけでも良しとすべきことだった。
だから、深谷おじいさんの誕生日を祝いに行くことに抵抗はなかった。
出かける前に、彼女は朝食を食べに行った。
意外なことに、宴司もそこにいた。
この時間に宴司がまだ家にいるなんて、まさに前代未聞のことだった。
もちろん彼女にとってはどうでもいいことだ。
彼女は何事もないかのように座り、スマホでニュースを見ながら用意された朝食を食べた。