第19章 深谷家に帰る(1)いじめ

深谷千早は今日少し遅く目が覚めたため、配信ルームに行く時間も遅くなった。

配信ルームが設立されてからもう少し時間が経ち、会社の人も増えてきた。彼女は一人一人に仕事を割り当て、その後のKPIも設定して帰宅したが、その時にはすでに夜の9時を過ぎていた。

意外なことに。

藤原宴司が家にいた。

彼はワーカホリックだ。

毎日深夜まで残業するのは当たり前のことだった。

ある時期、千早は藤原宴司が単に彼女と同じ屋根の下にいたくないだけで、すべてのエネルギーを仕事に注いでいるのではないかとさえ思っていた。

千早も宴司に構わなかった。

どうせ離婚する関係なのだから。

彼女は直接自分の部屋に戻った。

「深谷千早」宴司が突然彼女を呼び止めた。

千早は足を止め、彼を見た。

「何も私に言うことはないのか?」宴司が尋ねた。

千早は一瞬戸惑った。

本当に意味不明だと思った。

彼に何を言えというのだろう?

昨夜、白井香織と浮気していたことについて?

なんだって?

良心の呵責を感じて説明しようというのか?

そう思った瞬間、千早はその考えを打ち消した。

そんなはずがない。

本当に気にかけているなら、今朝ニュースが出た時点で説明していたはずだ。わざわざニュースが消えるのを待って、自分から話題を持ち出す必要はない。

「離婚のことですか?」千早は眉を上げた。

宴司の表情が一瞬で最悪になった。

「そうでないなら、私たちには話すことは何もありません」

そう言い捨てて、千早は立ち去った。

他のことを話すのは時間の無駄でしかない!

翌日の早朝。

千早は深谷挙之介から電話を受け、早く帰ってくるように言われた。

彼女は深谷家の人々を嫌っていたが、深谷おじいさんは彼女を粗末に扱ったことはなかった。もっとも、特別に面倒を見てくれたわけでもないが。

彼女にとっては、虐待されなかっただけでも良しとすべきことだった。

だから、深谷おじいさんの誕生日を祝いに行くことに抵抗はなかった。

出かける前に、彼女は朝食を食べに行った。

意外なことに、宴司もそこにいた。

この時間に宴司がまだ家にいるなんて、まさに前代未聞のことだった。

もちろん彼女にとってはどうでもいいことだ。

彼女は何事もないかのように座り、スマホでニュースを見ながら用意された朝食を食べた。