第18章 クズ男を気の毒に思うと8世代不幸になる

どうであれ。

千早がどれだけ藤原宴司のことを好きじゃないと言っても、結局二人は三年間も結婚しているのだ。夫婦なのだから、まったく心が動かないはずがない。

「もう怒ってないわ」深谷千早は冷淡に言った。

怒りを感じる年頃はとうに過ぎた。

今は早く離婚して、そしてこの先の人生、二度と関わらないことだけを望んでいる。

「藤原宴司って一体何を考えてるの？白井香織が昔彼を拒絶したのに、今戻ってきたら顔を舐められても彼女と一緒にいようとするなんて、マジで犬かよ！糞を食うのが好きなのか！」

小林温子は罵った後、また思わず尋ねた。「千早、これからどうするつもり？」

「離婚よ」彼女はずっとその過程にあった。

「彼は同意したの？」

「まだよ。でももうすぐだと思う」千早は言った。

香織を見る限り、彼女の方が彼女よりも待ちきれないようだった。

こうして何度も宴司を訪ねるなんて、察しのいい人なら分かるはずだ。

「離婚するときは絶対に藤原宴司から大金を巻き上げないと。いや、巻き上げるというより、合法的に彼の財産の半分を分割するべきよ」温子は義憤に駆られて言い、突然続けた。「昨夜の私の推測は間違ってなかったわ。今日、父が言ってたけど、藤原蘭ジュエリーの株は市場が開くとすぐに値上がり制限に達したんだって。昨夜の宴司のピンクダイヤモンドに関する宣伝効果は即効性があったみたい。父は朝からずっと藤原宴司を褒めてて、若くて有能で、後進の鑑だって。耳にタコができそうよ」

「彼がこんなに稼げるなら、絶対に情けをかけちゃダメよ！」温子は真剣だった。「男を哀れむと一生不幸、クズ男を哀れむと八代先まで不幸よ」

千早は微笑んだ。

彼女は全く哀れんでなどいない。

ただ自分の力が足りないことを恐れているだけだ。

宴司の背後にはあれほど大きな藤原家がついている。彼女の力など取るに足らない。

「そういえば」温子は突然驚いたように言った。「藤原宴司は昨夜『愛おしの』をあなたにプレゼントしなかったの？」

「考えすぎよ」

「あなたがそれをどれだけ欲しがってるか知ってるのに！」温子はさらに怒った。

罪悪感からの償いだとしても、この藤原という犬はケチすぎる。男としての誇りはないのか？！

「彼は離婚しないことを交換条件にしてる」千早は事実を述べた。