第17章 ニュースが流出

白井香織は小さな顔を下に向け、軽くうなずいた。

「君は体が弱いのに、どうして何も食べないんだ?」藤原宴司の口調には、責めるような響きがあった。

香織は少し困ったように口を開いた。「カメラに映ったとき、見栄えが悪くなるのが怖くて…」

「君は今でも十分痩せているよ。これ以上痩せたら病的になってしまう」

「でも、この役はあなたが私のために取ってくれたものだから、あなたを失望させたくないの。撮影の時に最高の状態でいたいの」香織は目を赤くして、弱々しく無力な様子を見せた。

香織が新しく受けたこの役は、宴司が木村冬真に頼んで与えられたものだった。

冬真は今、テレビドラマの制作を準備していて、女性三番手の役を香織がどうしても欲しがっていた。そこで宴司に助けを求めたのだ。

宴司はすぐに承諾し、その夜冬真と飲みながらちょっと話を出すと、冬真も反対しなかった。

撮影開始は約一ヶ月後。

この期間、制作チームも俳優たちも積極的に準備を進めていた。

「今後はこんなことをしてはだめだ」宴司は自分の怒りを抑えた。

「はい」香織は悔しそうにうなずいた。

「今は何か食べたのか?」宴司は尋ねた。

香織は答えなかった。

唐津は急いで言った。「食べていません。一口も。医者さんも先ほど少し食べるようにと言っていましたが、白井さんは…」

「唐津」香織は怒って彼女を制止した。

唐津は口をとがらせて黙った。

「食事はあるのか?」

「お粥を注文しました。ここにあります」唐津は指さした。

宴司はそれを取り、スプーン一杯すくって香織の口元に持っていった。「いい子だ」

香織は小さな唇を噛みながら、ゆっくりと口を開けた。

宴司は一口一口彼女に食べさせた。

香織は素直に一口ずつ食べていった。

遠くの廊下から、高性能カメラがすべての様子を捉えていた。

食べ終わった後。

宴司は指示した。「今後は毎日必ず食事をすること。唐津、毎日彼女が食事をしている動画を私に送ってくれ」

「はい」唐津はすぐに承諾した。

指示を終えると。

宴司は帰ろうとした。

「宴司」香織が彼を呼び止めた。

宴司は足を止めた。

「あの日、私があなたに言ったこと…」香織は言いかけて止まった。

帰国初日、彼女は宴司に好きだと告白した。

しかし彼は応えなかった。