第45章 通報された

藤原宴司は調査結果を手に取った。

明石和祺が傍らで報告する。「三ヶ月前、奥様が最初に大きな出費をされたのは、街の端にある一階建てのオフィスビルを購入されたことです。新しく建設された工業地帯だったため、不動産価格はそれほど高くなく、奥様は一括で支払われました。その直後、奥様は『アイシャン』というEC会社を登録し、あまり有名でない小さなインフルエンサーたちと次々と契約を結びました。夜宴で一気に契約した10人のトップ男性モデルも含まれています。彼らは今日私が見たあの『キラキラ』ブロガーの生配信に出ていたマッチョな男性たちです。」

「現在、奥様の会社はインフルエンサーやライブ配信者、スタッフを含めて50人規模になっており、小さな会社とは言えません。また、現在の総視聴者数も小規模配信者のレベルではなく、すでに収益化が始まっています。もちろん、完全に黒字化するところまではいっていませんが、現在の発展傾向からすると、半年以内には良い収益が見込めるでしょう。」明石は言いながら、まとめることも忘れなかった。「奥様は目が肥えていらっしゃいます。」

藤原宴司の表情が曇った。

明石はすぐに自分が言葉を間違えたことに気づいた。「男性モデルを選ぶ目が肥えているという意味ではなく、奥様の投資眼がとても優れているという意味です。現在、新メディア分野で起業している人の中で、奥様のような発展を遂げられる方は極めて少ないです。」

「そうそう。」明石は突然何かを思い出したように言った。「先日、奥様が藤原社長のために通訳をされた際、社長から5000万円をいただきましたが、奥様はそれで『安江邸』という物件の300平米の川を望む大型マンションを購入されました。現在は不動産価格が下落傾向にありますが、奥様が購入されたこの物件は価値が上昇しており、奥様の投資眼は本当に感服します。」

藤原宴司は冷ややかな表情を浮かべていた。

彼は深谷千早が投資をしているとは思っていなかった。

彼女はただ……

藤原宴司は唇を引き締めた。

つまり彼女は会社を立ち上げて稼ぎ、自分のために良い家を買い、すでに彼との離婚後のすべての退路を用意していたということか?!

本当にすべての準備を整えて、彼と離婚する気なのだ。

だから「何も持たずに出て行く」と言っても平気だったわけだ。

「明石。」藤原宴司の目が鋭くなった。