藤原蘭ジュエリー社長室。
明石和祺はノックをして入室した。「藤原社長、これはオンラインマーケティング部から総合部に提出されたオンラインマーケティング活動計画の分担表です。ご確認ください。」
藤原宴司は手に取った。
分担表を見ると、口元が上がった。明らかに深谷千早の仕事ぶりに満足している様子だった。
和祺も実は社長夫人の仕事能力を高く評価していた。
また、今日社長が夫人に冷たくしていたのは、単に夫人を鍛えるためだということも知っていた。
しかし女性はみな感情的な生き物だ。
社長が何も言わなければ、夫人には気づけないだろう。
彼はため息をつき、続けて報告した。「今朝、レイトリーから今月のエメラルドのデザイン案が届きました。メールでお送りしましたので、問題なければ製品部に完成を指示します。」
宴司は軽く頷いた。
彼はメールを開き、『緑の魔法の国』と名付けられたデザインを見た。エメラルドがレイトリーのデザインの下で、まるで仙人のような雰囲気を醸し出していた。元々の少し大人びた色合いから受ける印象とは鮮明な対比を成していた。
和祺は社長の表情を見るだけで、このデザインにどれほど満足しているかがわかった。
実際、和祺自身も見たときに感動していた。
彼には想像できなかった。あまり見た目が良くないデザイナーが、どうしてこんなに美しいジュエリーをデザインできるのか。デザイン図を見た瞬間、まるで神秘的な森の中で踊る精霊が目の前に現れたかのようだった。生き生きとしていた。
「製品部に完成を指示して、念を押しておいてくれ。必ずレイトリーのデザイン通りに1対1で再現するように。技術面では極限まで追求するように。」宴司は命じた。
「はい。」和祺は敬意を示しながら、さらに提案した。「このジュエリーを土曜日のオンラインイベントで一緒に宣伝してはいかがでしょうか?前回の晩餐会は売上は良かったものの、評判は娯楽性が中心で、ジュエリー自体への評価はあまり高くありませんでした。今回レイトリーの『緑の魔法の国』が出れば、ブランドのランクを一段階上げられると思います。」
「うん。」宴司は同意した。
そして続けて言った。「深谷千早と八尾麗奈を呼んでくれ。簡単な指示をしたい。」
「かしこまりました。」
しばらくして。
千早と麗奈が宴司のオフィスに現れた。