第108章 会社の団建(二更)

「私と深谷千早が何をしようと、それは合法的なことだ」藤原宴司は一言一言はっきりと言った。

「あなたって!」小林温子は藤原宴司に言い返せなくなった。

「独身犬と話すことなんて何もない」宴司は電話を切った。

温子は怒りで爆発しそうになった。

藤原宴司が彼女のことを独身犬だと!

くそっ。

彼女を追いかける男はパリまで列をなしているというのに!

姉さんが見向きもしないだけよ!

……

宴司は千早の携帯を置いた。

彼女はまだ彼が渡したミネラルウォーターのボトルを手に持っていた。

一体どれほど眠いのか、こんな状態まで眠くなるとは!

心の中で、微かな感動があった。

彼は再び彼女からミネラルウォーターのボトルを取り上げた。

千早は少し眉をひそめた。

少し不快そうに眠っているようで、体を動かした。

宴司はそれに合わせて彼女の頭を自分の肩に寄せた。

彼女が快適に寄りかかれるように、自分の体を曲げる努力までした。

千早は習慣的に顔を宴司の肩にすりつけ、最も快適な姿勢を探しているようだった。

宴司はそんな彼女のぼんやりとした仕草を見つめ、毛穴さえ見えないほど白くて柔らかい頬を見つめていた。

明石和祺も車の中にいた。

彼は前の席に座っていた。

声が聞こえなくなったので好奇心から振り返ってみると、社長が社長夫人の寝顔を見つめる目が、もう糸を引いていた……

そんなに演技しなければ。

とっくに美人を手に入れているというのに。

車内は静寂に包まれていた。

藤原別邸に到着。

宴司は千早を抱えて車から降りた。

千早はあまりにも深く眠っていて、これほどの動きにも全く反応しなかった。

今なら売られても気づかないだろうと思った。

彼は千早を抱えて家に入った。

「藤原さん……」

「しっ」宴司は山本さんを制した。

山本さんはすぐに口を閉じた。

宴司は千早を抱えて彼女の部屋に入り、ベッドに寝かせた。

千早は体を反転させ、頭を枕に埋めて深く眠っていた。

宴司はそんな彼女の寝顔をじっと見つめていた。

口元に淡い笑みを浮かべ、「そんなに眠いのか?私だって一晩中眠っていないのに」

千早は当然聞こえていない。

彼の指が彼女の頬に触れ、耳元で静かに言った。「私は目が見えないわけじゃない」

……

千早が目を覚ましたとき、もう何時かわからなかった。