深谷千早が藤原宴司のオフィスを出た後、総務部から社内文書を受け取った。
当初、今週末の二日間に予定されていたチームビルディング活動が、来週の月曜と火曜に変更された。
文書が出るや否や、千早はオフィスの外から大きな歓声が聞こえてきた。
「深谷社長」条野紋乃は興奮を隠しきれない様子で報告した。「チームビルディング活動が来週の月曜に変更になりました。社員の週末の休息時間を使わなくて済みます」
千早は微笑んで、何気なく言った。「後進の育成も順調だな」
「え?」
「なんでもないわ」千早は応じてから、また尋ねた。「私たちの部署からは何人参加するの?」
「優秀社員が四人で、名簿はこちらです」
千早はそれを受け取って目を通した。
「私たちの部署からはリーダーは私一人だけ?」
「本来は八尾社長が行く予定でしたが、用事があるからと不参加を決めました」紋乃が報告した。
「彼女がどうして休暇を取れるの?」千早はとても不満そうだった。
紋乃にも分からなかった。
あるいは言えなかったのかもしれない。
八尾副社長はやはりコネ入社だから。
「まあいいわ」千早は名簿を紋乃に返した。
彼女にとっては一年間頑張るだけ。
一年後には、宴司の顔色を伺う必要もなくなる。
「午後3時に会議を開くように通知して。今週土曜日のライブ配信での特別セールについて、具体的な役割分担を決めるわ」
「はい」
……
週末が過ぎた。
第二回オンラインマーケティングセールも大成功を収めた。
今や藤原蘭ジュエリーは「土曜オンラインお得購入」というブランドを確立し、顧客もこの日に特典を受けることに慣れてきていた。
あと数回続けて固定の販売モデルが形成されれば、オンラインマーケティングは基本的に軌道に乗るだろう。
約3ヶ月で完全な結果が見えるはずだ。
千早の能力は、会社内ですでに広く知られるようになっていた。
無名の存在から、全社に認められる人物へ。
八尾麗奈の千早への嫉妬は隠しきれないほどだった。
月曜日の早朝。
チームビルディングに参加する全社員が、会社の正門前に集合した。
50人近くが、合計2台の大型バスに乗る予定だった。
千早は群衆の中で突然、麗奈を見つけた。
彼女はぴったりとしたスポーツウェアを着て、完璧なメイクをしていた。