第109章 ゲーム(一更)

深谷千早が藤原宴司のオフィスを出た後、総務部から社内文書を受け取った。

当初、今週末の二日間に予定されていたチームビルディング活動が、来週の月曜と火曜に変更された。

文書が出るや否や、千早はオフィスの外から大きな歓声が聞こえてきた。

「深谷社長」条野紋乃は興奮を隠しきれない様子で報告した。「チームビルディング活動が来週の月曜に変更になりました。社員の週末の休息時間を使わなくて済みます」

千早は微笑んで、何気なく言った。「後進の育成も順調だな」

「え?」

「なんでもないわ」千早は応じてから、また尋ねた。「私たちの部署からは何人参加するの?」

「優秀社員が四人で、名簿はこちらです」

千早はそれを受け取って目を通した。

「私たちの部署からはリーダーは私一人だけ?」

「本来は八尾社長が行く予定でしたが、用事があるからと不参加を決めました」紋乃が報告した。

「彼女がどうして休暇を取れるの?」千早はとても不満そうだった。

紋乃にも分からなかった。

あるいは言えなかったのかもしれない。

八尾副社長はやはりコネ入社だから。

「まあいいわ」千早は名簿を紋乃に返した。

彼女にとっては一年間頑張るだけ。

一年後には、宴司の顔色を伺う必要もなくなる。

「午後3時に会議を開くように通知して。今週土曜日のライブ配信での特別セールについて、具体的な役割分担を決めるわ」

「はい」

……

週末が過ぎた。

第二回オンラインマーケティングセールも大成功を収めた。

今や藤原蘭ジュエリーは「土曜オンラインお得購入」というブランドを確立し、顧客もこの日に特典を受けることに慣れてきていた。

あと数回続けて固定の販売モデルが形成されれば、オンラインマーケティングは基本的に軌道に乗るだろう。

約3ヶ月で完全な結果が見えるはずだ。

千早の能力は、会社内ですでに広く知られるようになっていた。

無名の存在から、全社に認められる人物へ。

八尾麗奈の千早への嫉妬は隠しきれないほどだった。

月曜日の早朝。

チームビルディングに参加する全社員が、会社の正門前に集合した。

50人近くが、合計2台の大型バスに乗る予定だった。

千早は群衆の中で突然、麗奈を見つけた。

彼女はぴったりとしたスポーツウェアを着て、完璧なメイクをしていた。