画面に突然、先ほどの写真の元となる映像が映し出された。
舞台裏には監視カメラが設置されていた。
一般的な放送スタジオにはそういったものがある。
深谷千早は先ほど舞台上で、明石和祺が背を向けて去っていくのを見た瞬間、彼が証拠を探しに行ったことを悟った。
和祺は衝動的な人間ではない。無駄な行動はしない。
だから直接舞台に上がって二人の関係を否定するようなことはせず、すべての人を納得させる理由が必要だった。
千早は藤原宴司に対して不満を抱いていたが。
和祺という補佐は、能力も忠誠心も申し分なかった。
今、画面には明石補佐がなぜ深谷社長を支えていたのかがはっきりと映し出されていた。明らかに千早が突然めまいを起こしたため、和祺が彼女を支えたのであり、二人の距離感も写真から受ける印象とはまったく異なっていた。二人が密会していたようには見えなかった。
映像が流れると、会場からざわめきが起こった。
「誤解だったのでは?二人はあまり親しそうには見えないし、明石補佐は意識的に深谷社長との距離を保っているようにも見える」
「やはり誰かに陥れられたんだ。ひどすぎる!この映像がなければ、深谷社長と明石補佐は冤罪で終わっていたじゃないか!」
「他人の成功が気に入らなかったんでしょう!私も深谷社長が最優秀社員賞を受賞することにはあまり賛成ではなかったけど、会社が評価したのなら公平なはずです」
「誰が裏で悪さをしたのかしら?こんな風に事を荒立てる人こそ、会社をクビになるべきよ!」
千早は和祺の方を振り向いた。
和祺はうなずき、千早の意図を理解した。
社長夫人がこのまま黙っているはずがない。
彼女が普段我慢しているのは、自分の底線に触れられていないからだ。
自ら墓穴を掘る人もいる。
和祺はマイクを向け、名指しで質問した。「八尾麗奈副社長、あなたがこれらの写真を撮影して大画面に映し、皆に私と深谷社長の関係を誤解させたのは、どういう意図があってのことですか?」
八尾麗奈は客席に座っていた。
実際、和祺が映像を出した瞬間から、彼女は心の中で動揺し、その場を離れたいと思っていた。しかし、いつの間にか二人の警備員が彼女の側に立っており、明らかに彼女が退出するのを阻止しようとしていた。今、過激な行動に出れば、彼女は間違いなく全員の注目を集めることになる。