言葉が落ちると、会場は再び衝撃に包まれた。
八尾麗奈は完全に信じられないという表情だった。
深谷千早が公開チャットの記録を公開する勇気があるだなんて?!
彼女はそんなに大胆なのか?!
それとも……
ありえない。
深谷千早がコネを持っていなければ、突然降格されるはずがない。
明石和祺が彼女とそんなに良い関係であるはずもない。
彼女は普段からよく見ていた。明石が千早に対する丁寧さは、明らかに並外れたものだった。
藤原蘭グループ全体で、明石は藤原宴司一人の顔色だけを伺って行動するのに、いつから他の人に丁寧になったというのか。
絶対に何かがおかしい。
そう思うと、麗奈は再び背筋を伸ばし、千早に向かって自信満々に言った。「じゃあ出してみなさいよ、私に見せてみなさい!」
「なぜあなたに見せる必要があるの?」千早は反問した。
「どういう意味?出すと言っておきながら見せないなんて、あなた……」
「あなたは私を困らせたいだけだから、あなたが事実を捏造する可能性があると疑う理由があります」千早は的確に指摘した。
「あなた!」麗奈は千早の皮肉に言葉を失った。「じゃあ藤原社長に見せなさい!」
ちょうど藤原宴司も壇上にいた。
千早は宴司を一瞥した。
宴司も彼女をそのように見つめていた。
二人は一瞬目が合い、千早はすぐに視線をそらし、直接ステージの前に歩み出た。
麗奈は千早が突然離れるのを見て、興奮気味になり、千早の前に駆け寄った。「何をするつもり?今逃げるの?!」
「逃げないわ」千早は冷ややかに皮肉った。「あなたが逃げるのが怖いだけよ」
「私がなぜ逃げるの?!今日あなたの偽りの仮面を剥がすために立ち上がったんだから、どんな結果でも受け入れる覚悟はできてるわ」
「その言葉、忘れないでね」
千早は麗奈を一気に押しのけた。
麗奈はバランスを崩し、もう少しで床に転びそうになった。
会場の人々からもざわめきが起こった。
千早がこんなに強気だとは思わなかった。
麗奈のような強い人物の前でも、少しも怯む様子がない。
麗奈は体勢を立て直すと、千早に掴みかかろうとした。