第147章 藤原一族の宴会(4)クライマックス

「あなたも、白井香織がレイトリーのデザインに……咳、適していないと思う?」深谷千早は小林温子に尋ねた。

「そう、適していないわ」温子は肯定的な返事をした。

「客観的に?」

「客観的にも主観的にも」

「……」

「客観的な部分が六割かな」温子はじっくりと見て言った。「香織の雰囲気はこのジュエリーセットと合わないの。言葉では表現しづらい感じ。カメラのクローズアップではジュエリーは息を呑むほど美しく見えるけど、全体像で香織が身につけているのを見ると、なんだか普通に見えてしまう。香織はこのジュエリーセットの美しさを引き立てられていないわ」

「もし春野鈴音が身につけたらどうだと思う?」千早は尋ねた。

温子は頭の中で想像してみて、ゆっくりと答えた。「想像できないわ。私の空間想像力はそこまで高くないから」

千早もそれ以上は強要しなかった。

結局、温子はデザイナーではないのだから、そこまで鋭い目を持っているはずがない。

しかし千早にとっては、どのジュエリーが誰に合うかは一目で分かった。

彼女がデザインしたジュエリーと香織の雰囲気は全く合わなかった。

香織が藤原蘭ジュエリーの広告塔を務めることに問題はないが、千早は自分のジュエリーデザインのための専属モデルが必要だった。

千早はそっと考えていた。

周りでも多くの議論の声が聞こえ、このジュエリーセットへの評価は非常に高かった。

しかし今夜は藤原グループの周年記念パーティーであり、藤原蘭ジュエリーも主役を奪うわけにはいかない。前回の藤原蘭の晩餐会のように明確な価格表示をして即売会を行うことはできず、今回はただ一つの出し物として適度な宣伝をするだけだった。

香織はパフォーマンスを終え、ステージから降りた。

彼女が降りてくると、スタッフが前に出て、当然ながら彼女が身につけているジュエリーを外そうとした。

香織は少し不機嫌そうに言った。「私は広告塔よ。これから夜のパーティーもあるし、みんなに見てもらうためにずっとつけていたいの」

「でも……」スタッフは困惑した様子だった。

彼らの責任はこのネックレスを守ることであり、香織がステージでの発表を終えたら、今夜のパーティー会場のガラスケースに展示するために運ぶことになっていた。香織が身につけたままにするとは聞いていなかった。