会場中が、衝撃に包まれた!
深谷千早も驚いていた。
サプライズを演出するため、受賞者は絶対に秘密にされていた。
とにかく周年記念パーティーに参加できる名簿に載っている人なら、誰でも受賞の可能性があった。
だから人事部がパーティー参加者リストを発表する際、特に正装で出席するよう強調していた。もしかしたら受賞するかもしれないのだから!
「深谷千早さん、どうぞ前に出て受賞してください!」
司会者が大きな声で発表した。
これは藤原グループ最高の栄誉だった。
しかも創立60周年の記念式典での受賞だ。
深谷千早の名前が発表された瞬間。
藤原グループの社員たちも信じられない思いだった。
結局、千早が入社してまだ3ヶ月しか経っていないのだ。
彼女がこんな資格を持ち、こんな大きな栄誉を受けるなんて。
年間優秀社員は、少なくとも1年の勤務年数が必要なはずでは?!
「千早、何ぼーっとしてるの?早く壇上に行って賞を受け取りなさいよ」小林温子は千早本人よりも興奮していた。
温子は何の不正もないと確信していた。
彼女の心の中では、千早は最も優秀な人物だった。
子供の頃から勉強が抜群に良く、今の仕事でも当然トップクラスのはずだ。
こんな大きな賞を受けるのは、まさに実力通りだと思っていた。
千早は少し恐縮していた。
こんな大きな賞をもらえるとは思っていなかった。結局、1年後には会社を去るつもりだったのだから。
情けは人のためならず。
彼女はこの仕事で死ぬほど働きたくはなかった。
すでに酷く圧迫されていたとはいえ。
千早は深呼吸をして、立ち上がって壇上へと向かった。
これだけ多くの人の前で、藤原グループの面子を潰すわけにはいかない。
彼女は舞台に上がった。
千早の会社での在籍期間は短いが、オンラインマーケティングの成功により、社内では広く知られるようになっていた。皆この風雲児的存在について聞いていたが、実際に会ったことがある人は少なかった。特に藤原グループ本社では。そして今日の周年記念には、当然本社の人間が多く参加していた。
今、全員がスーツを着た女性が舞台に上がるのを見ていた。
シンプルで上品かつ知的な装いが、全員の目を奪っていた。