第061章 陸兄さんが詐欺師なわけがない

今田由紀が入ってきた時、今田お母さんの不満げな叱責の声が聞こえてきた。

「由紀、私は絶対に認めないわ。あんな人と結婚するなんて、どうしたの?彼は足が不自由なだけじゃなく、目も見えないのよね?さっき見たら、ドアさえ見つけられなかったじゃない。そんな人が私の前で厚かましくも『あなたを大切にします』なんて言うなんて、何の冗談?自分の面倒すら見られないのに、どうやってあなたの面倒を見るっていうの?由紀、一体どうしちゃったの?!」

今田お母さんは心を痛め、興奮して咳き込んだ。

由紀は手のひらをきつく握りしめ、前に進み出て諭すように言った。「お母さん、陸兄さんのことをそんな風に言わないで。彼はとても良い人で、彼は…」

「何が良いのよ?子供、あなたはまだ若いのよ、何もわかっていない。彼と結婚したら、一生を共にする人になるのよ。あなたは彼の面倒を一生見続けるつもりなの?あなたはまだこんなに若いのに、二人には未来なんてないわ。私はあなたが一生不幸になるのを見過ごせない。お母さんにはわかるわ、きっと榎本剛があなたを傷つけたから、あなたは誰でもいいから結婚しようとしているんでしょう。でも、お母さんは絶対に認めないわ!」

「お母さん、声を小さくして。陸兄さんのことをそんな風に言わないで!彼は本当に良い人で、私にとても優しいの。お母さん、お願いだからそんな風に言わないで!」由紀は目に涙を浮かべ、唇を噛みしめ、とても辛そうだった。

「人が良くたって何になるの?あなたを幸せにできるの?彼はあなたよりずっと年上に見えるわ。一体どうやって彼に騙されたの?彼は詐欺師じゃないの?由紀、怖がらなくていいのよ。もし彼があなたを騙したのなら、お母さんがあなたを連れて警察に行くわ!」

お母さんは眉をひそめ、由紀の手をしっかりと握り、切迫した様子で尋ねた。

詐欺師?!

いいえ、彼女は陸兄さんが良い人だと知っていた。彼女が最も困っていた時に、他人から受け取った補償金を彼女の医療費として援助してくれたのだ。

それは単なる恩義だけでなく、彼が慈善の心を持つ良い人であることを示していた。

しかし今、お母さんは陸兄さんを詐欺師と呼び、警察に行くと言っている。