今田由紀は佐藤陸がこの期間どのように今田お母さんと自分の世話をしてくれたかをすべて母親に話して聞かせた。
今田お母さんはようやく落ち着いてきた。実際、彼女は道理の通じない人ではなかった。
ただ先ほどは一時的に受け入れられなかっただけだ。由紀はあの男性よりもずっと若く見え、しかもあのような状況だったので、母親として当然心配になったのだ。
「そういうことだったのね、彼が医療費を払ってくれたなんて、確かに私たち家族の大恩人ね。でも由紀、お母さんは自分のせいであなたの一生を犠牲にするわけにはいかないわ。全部お母さんが悪いのよ!」
「お母さん、そんなこと言わないで。私はお金を出してくれたからとか、恩返しのために陸兄さんと結婚したわけじゃないの。確かに年齢は私より上だし、体も弱いけど、彼は私をとても包容してくれるし、気にかけてくれる。陸兄さんと一緒にいると特別安心感があるの。この3年間、今のように気楽に過ごせたことなんてなかったわ。お母さん、わかる?この感じは、私もそんなに悪くないんだって思わせてくれるの。私にも愛してくれる人がいて、心から信頼できる人と心の内を分かち合える。本当に幸せだと思うわ!」
由紀のこの言葉は陸の耳には直接届かなかったが、病室内のもう一つのベッドにいた道枝真凛はすでに携帯電話の録音ボタンを押していた。
真凛は布団をかぶり、暑さでほとんど息ができないほどだった。
しかし、今録音した内容を思い出し、これを佐藤お坊ちゃんに渡せば、功績を立てたことになるのではないかと考えた。
彼女は本当に介護士になりたいわけではなく、外に出て演技の仕事がしたかったのだ。
由紀とお母さんは病室で長い時間話し合い、昼食の時間になると、陸がドアをノックした。
「お母さん、浅浅、食事の時間だよ。お母さんの好みがわからなかったから、いろいろな料理を持ってきたよ。熱いうちに食べてね!」
由紀は泣いて目が桃のように腫れていたが、陸が手に持っている食事を見て、かすれた声で言った。「陸兄さん、どうやって外に出たの?!」
「ああ、隣の看護師さんに聞いたんだ!」
陸はサングラスの奥の目で、由紀とお母さんの驚きの表情をすべて見ていた。