第198章 乖宝を世界一幸せな姫君にする

「何？わざとじゃないって何？！」佐藤大翔は尋ねた。

高橋美奈は泉里香と合流するのを待っていた。彼女は榎本剛と大翔の間にどんな誤解があるのか知る興味はなかった。

彼女は簡潔に言った。「榎本剛、もし以前どこかで私の兄を怒らせたなら、あなたはラッキーよ。兄は3年前に北海道でスキーをしていた時に雪崩に遭って、3日3晩閉じ込められたの。救助された後、多くのことを覚えていないのよ！」

「覚えていない？覚えていない！！！！大翔、君は記憶喪失になったのか、まさか君も……」

「俺も？お前一体何を言ってるんだ？」

「い、いや……まさか君もこんな不幸な出来事があったなんて。でも今は無事で何よりだ。大翔、君に会えて本当に嬉しいよ！」

剛は大翔が記憶喪失だと聞いて、さっきまで胸に張り詰めていた緊張の糸がようやく緩んだ。深く息を吸い込み、落ち着いた表情で言った。

「もういいわよ、旧交を温めるならこんな時を選ばないでよ。上階では新婦が待ちくたびれているわ。早く彼女を探しに行きましょう！」

「君たちは行っておいで、僕は下で待っているよ！」

大翔は後ろ4、5メートルの花のアーチの影に隠れている今田由紀が気になっていたので、美奈と剛を追い払った。

大翔が再び花のアーチに戻ると、そこにはもう由紀の姿はなかった！

「小さな子、小さな子？！本当に言うことを聞かないな、勝手に動き回るなって言ったのに？！」

……

由紀は泉里香が自分を害しようとしていることを知り、すぐに主会場で待っている佐藤陸のことを思い出した。

彼女の頭の中では、大翔が彼女に待っているように言った言葉が完全に無視されていた。

彼女は急いで主会場に走った。細田次郎はすでにすべての準備を整えており、今まさに陸に状況を報告しているところだった。

「準備はできたか？！」陸の冷たい声は、まるで地獄から這い出てきたサタンのように恐ろしかった。

次郎はうなずいた。「はい、ボス！奥様に危険が及ぶことはありません。ただ、一つ理解できないのは、彼らが奥様を害そうとしているのなら、このことを奥様に伝えれば、奥様は間違いなく榎本剛に対して心を閉ざすでしょう。そうなれば……」