榎本剛が去った後、泉里香は完全に呆然としていた。今どうすればいいの?
彼女は今田由紀を破滅させようとしたのに、最終的に破滅したのは自分自身だった!
彼女を苦しめたあの男たちのことを思い出し、里香の目はすぐに毒々しく凶暴になった。「高橋美奈は?!高橋美奈はどこにいるの?!!!」
あの男たちは美奈が連れてきたのだ。彼女は美奈に問い詰めなければならない。なぜ由紀を破滅させるはずの男たちが、自分をベッドに連れ込んだのか!
しかしこの時、美奈は里香の醜聞を知ると、すでに佐藤大翔を連れて立ち去っていた。
由紀を破滅させることができなかったのだから、彼女は里香の詰問を聞くために残るつもりはなかった。彼女は佐藤家の人間だ。里香には証拠がない。たとえあの男たちは彼女が手配したものだと言ったとしても、誰が信じるだろうか?
それに、彼女は由紀を害するために男たちを連れてきたのであり、彼女自身が首謀者なのだ。だから美奈は確信していた。里香は歯を食いしばって黙るしかなく、絶対に彼女の名前を口にしないだろうと。
……
車がアパートに到着すると、佐藤陸は自分のスーツの上着を今田由紀にかけ、慎重に彼女を車から抱き出した。
由紀は道中ずっとぼんやりとして、口では「嫌、嫌」と怖がっていた……
陸は後悔でいっぱいだった。彼女が臆病だと知っていたのに、こんなに怯えさせてしまうとは思わなかった。
彼は由紀がただ里香の末路に怯えているだけだと思っていたが、実際には由紀は里香と男たちの映像を見て、自分が誘拐された時の光景を思い出していたのだ。
さらに以前の美奈の脅しもあり、心の傷があまりにも深かった……
このような刺激で、由紀は怯え、道中で体が熱くなり、うわ言を言い始めた。
「いい子、いい子、怖くないよ、大丈夫。全部陸兄さんが悪かったんだ。僕が間違っていた。もっと早くキミを連れ出すべきだった。キミが臆病だと知っていながら、こんなものを見せてしまった。全て僕のせいだ……」
陸は由紀のドレスを静かに脱がせ、快適なパジャマを着せ、ベッドに座って彼女を完全に胸に抱きしめ、絶えず慰めていた。
かかりつけ医の森信弘がドアを開けた時、彼は驚きのあまり目が飛び出しそうになった。