森信弘の手の甲は瞬く間に赤く腫れ上がった。彼は痛みに後ずさりし、もう片方の手で触れた。「佐藤兄さん、どうしたんですか?!」
義姉さんの病気を治すために注射をしているのに、佐藤兄さんは褒めてくれないどころか、僕を叩くの?!
佐藤陸の深い黒い瞳に一筋の冷酷さが宿った。手を差し出して言った。「俺がやる。お前は出て行け!」
もう触れさせないつもりか?!
そんなに大事なの?!
それに触れるわけじゃないんだ、これは注射だけなのに、佐藤兄さん、なんでそんなことするの?!
信弘の手は叩かれてズキズキ痛んだが、陸の命令に逆らう勇気はなかった。
彼は注射器を陸に渡した。「佐藤兄さん、どうぞ!」
「お前はどこでもいいから客室に泊まれ。夜中にまた熱が出るかもしれないから、彼女の病気が良くなるまでそこにいろ!」
「はい、わかりました。先に出ますね。何かあったら呼んでください!」
信弘が出て行った後、陸は片手に注射器を持ち、もう片方の手で朦朧としている今田由紀のパジャマのズボンを慎重に下ろした。
「いい子だ、あなたは病気だから、注射をしないといけないの。怖がらなくていい、陸兄さんがやってあげる。他の人には触らせないよ!」
陸は彼女が熱で朦朧としていることを知っていて、彼女の唇の端にキスをしながら言った。
由紀は注射と聞いて、熱で朦朧としていても激しく抵抗し始めた。「いや、いや...注射はいや、痛い、いや、陸兄さん、陸兄さん...」
彼女は熱を出し、頬は赤く染まり、唇の端は陸が先ほどキスをしたことで水気を帯び、潤んでいた。その小さな声で呼ぶ声は魅惑的で色っぽく、特に今のような慵懶な姿で、完全にベッドに横たわり、潤んだ大きな目で陸を見つめる時!
まさに陸を狂わせるようで、彼の全身の血液が爆発しそうだった!
沸騰し、騒がしく、彼女を激しく抱きしめたいという欲望。男性の獣性が由紀のこの姿によって完全に引き出されていた。
しかし今はダメだ。今は彼女が病気なのだ。陸がどうして彼女を苦しめることができようか?
「手に負えない小悪魔め、病気が治ったら、どうやってお仕置きするか見ていろ。おとなしくして、注射をしよう。陸兄さんがやるから、痛くないよ!」
「嘘つき、嘘だ、注射はいや、注射は痛い、陸兄さんは意地悪〜嘘つき...」