第162章 佐藤お坊ちゃんは妻を命より愛している

結局、最初は「原則を守って無駄遣いはしない」と言っていた今田由紀は、最後には大量の必死に買い込んだお菓子の袋を抱えて、嬉しそうに佐藤陸を押しながら、口では忘れずに陸に注意していた。「陸兄さん、さっき私が最後に押して連れ出さなかったら、あなたはきっとまだあそこで買い物し続けていたわよ。陸兄さん、私は何も言わないけど、あなたは食べ物に目がないわね、それはよくないわ...」

陸は唇を震わせながら、心の中で思った。可愛い妻のこの濡れ衣を着せる技術は本当に凄まじい。

彼は見えないのに、こんな風に彼をいじめるなんて!

彼はただそこに座っていただけで、必死に買い物していたのは彼女じゃないか?

今買いすぎたくせに、逆に彼のせいにして、彼が悪いことにしてしまった!!!

でも...

彼が彼女を愛しているからこそ、彼女の言うことがすべて正しいのだ!

二人はお菓子コーナーから日用品コーナーへと移動し、由紀はまた一通り買い漁った。セールになっているものは、必要かどうかに関わらず、気に入ったものはすべてカゴに詰め込んでいった。

最後にはもう入らなくなり、口を尖らせ眉をひそめて悩ましげに呟いた。「あら、こんなに買わないって約束したのに、陸兄さんはどうして私を止めてくれないの?今こんなにたくさん取ってしまって、また戻すのは恥ずかしいわ...」

陸は彼女の言葉を聞いて、眉を震わせ、サングラスの奥の黒い瞳で由紀を見つめた。

彼の可愛い妻は両腕でしっかりとカゴを抱え込み、買いすぎて恥ずかしいという自覚は全くなかった!

どれも彼女が気に入ったもので、どれも手放したくないのだ。

陸は分かっていた。彼女はただ買いすぎたことを少し愚痴っているだけで、この時に彼が厳しく叱ってくれることを望んでいるのだ。彼女を崖っぷちから引き戻し、早めに正道に戻らせてほしいと!

しかし妻を命よりも大事にする陸は、妻が少しでも欲しいものがあれば、このセール品どころか、オークションの何百万何千万円のものでも、彼の可愛い妻が欲しいと思えば、二つ返事で彼女の前に用意できるのだ。

こんな些細なものは、陸の目には何だというのか?!

何でもない!