第240章 浅浅が佐藤お坊ちゃんにラブレターを書く

書斎の中で、佐藤陸は胸の辺りを強く押さえ、深い瞳に一筋の痛みと忍びない思いが閃いた。

彼も彼女をこんな風に責めたくはなかった。だが先ほど佐藤大翔から電話があり、今田由紀は嘘をついて彼を欺いた。単なる同級生が資料を借りに来ただけだなんて言って。

もはや彼は心の中で燃え上がる怒りを抑えることができなかった!

彼は彼女を甘やかし、愛し、彼女は彼の全ての愛情を当然のように享受しながら、彼に一言の真実も語ろうとしない!

同級生だって?

同級生なら彼を避けて部屋で電話を受ける必要があるのか?

彼女はただ大翔と付き合いたいだけで、彼に知られたくないだけだ!

なんだって?

彼女も彼が好まないこと、彼女と大翔の交際を認めないことを知っているのに、それでも彼の意向に逆らう勇気があるというわけか。

彼は毎日大小のことで彼女に最大限の気遣いをしているのに、今はどうだ?

今まで由紀のように、佐藤お坊ちゃんのプライドを完全に踏みにじる女性はいなかった!

彼は彼女にしっかり反省してほしかった。大翔と彼女のことについて、細かいことも含めて、すべて彼女の口から聞きたかった。

しかし……

陸はセクシーな薄い唇を引き裂き、目の奥に一筋の痛みを浮かべた。「それでも手放せない。佐藤陸、お前は今、今田由紀という毒にかかっている。身を引こうとすれば万劫に落ちる。ふふ……可愛い子よ、お前は本当に手強い。私を誘惑したからには、絶対にお前が私から離れる機会は与えないぞ!」

書斎の外はもう静かになっていた。陸の体が一瞬止まった。

もしかして彼女は出て行ったのか?

ふん……

この娘は本当に無神経だ。彼が彼女のせいでこんな状態になっているのに、彼女は全く気にしていない。

陸はドアを開け、空っぽの廊下を見て、無力に頭を振った。目には失望の色が満ちていた。

この時、由紀は部屋のドアを閉め、大きなベッドに伏せて、片手にペンを持ち、もう片方の手で顎を支え、眉をひそめて一生懸命考えていた。

開いたノートを前に見つめ、懸命に考え込んでいた。

「愛しい人……これはダメ、気持ち悪すぎる。陸兄さん、私が悪かった?あぁ……これも誠意が足りないわね。一体どう書けばいいの、難しいわ……」