第241章 陸兄さんに恋文を読む

今田由紀は一万字の論文なら書いたことがあるが、一万字のラブレターとなると全く見当がつかなかった。

佐藤陸が怒っている理由は主に二つ:一つは由紀が誘拐されたことを彼に即座に伝えなかったこと、もう一つは由紀が佐藤大翔と電話番号を交換していたことを隠していたことだ!

彼女はまず、誘拐事件を陸に隠していたことを心から謝罪し、今後何かあっても二度と隠さないと何度も約束した。

次に大翔についてだが、彼女が大翔のことを考えると、頭に浮かぶのは大翔が何度も彼女を救ってくれた場面だった。

由紀はとても純粋で、彼女と陸兄さんは家族だと思っていた。

彼女は陸兄さんのものだから、大翔が彼女を救ってくれたなら、佐藤兄さんが良い人だということを陸兄さんに伝えるべきだと。

陸に、実は大翔は悪い人ではなく、彼女の恩人だということを伝えたかった!

陸兄さんは大翔に対する誤った認識を改めるべきで、大翔は彼女の命の恩人なのだから、陸兄さんも感謝すべきだと。

だから……

由紀はとんでもないことをしでかした!

由紀は残りの「ラブレター兼反省文」を、大翔による勇敢な救出劇の記述文に仕上げてしまったのだ!

そして——

由紀のために忙しく麻辣湯を作っていた佐藤お坊ちゃんが、麻辣湯をテーブルに置き、期待に胸を膨らませながら由紀から手渡された一束の「ラブレター」を両手で恭しく受け取った!

佐藤お坊ちゃんはセクシーな薄い唇から興奮を隠しきれず、口角を上げて笑いながら由紀の頬を手で軽くたたいた。「いい子だ、お前が陸兄さんにこれをくれても、陸兄さんには見えないんだぞ?」

彼には見えるのだ!

彼は愛しい子が一字一字書いたラブレターを自ら読みたくてたまらなかった!

佐藤お坊ちゃんは生まれて初めてこういうものを受け取った。以前学校にいた頃も彼に憧れる女子はいたが、佐藤お坊ちゃんの冷たい外見と圧倒的な家柄の権力に怯え、命知らずで佐藤お坊ちゃんにラブレターを書く女性はいなかった!

しかも、あの人たちが書くのは佐藤お坊ちゃんが欲しいものではなかった。今、愛しい子が彼のために書いてくれたのだ。一万字どころか、たった数文字でも、佐藤お坊ちゃんは興奮のあまり両手が震えるのを止められなかった。

彼は心の中で、愛しい子が読み終わったら、これを大切に保管して、金庫にしまおうと思っていた。