時間を確認すると、今田由紀はもう一時間も中に入ったままで、出てくる気配はまったくなかった。
佐藤陸は乾いた苦笑いを浮かべ、目を固く閉じていた。部屋の中には物音一つしなかった……
案の定、しばらくすると、由紀は浴室のドアをそっと開け、真っ赤になった小さな顔を覗かせた……
ベッドの上の陸が動かないのを見て、彼女はゆっくりと体を動かし、静かに息を吐き出した。
中はあまりにも暑かった。4時間どころか、この1時間でさえ耐えられなかった!
彼女はこのままバスルームにいたら、そのまま気を失ってしまうと感じていた!
バスルームのエアコンは壊れているのだろうか?
温度を調節したはずなのに、なぜこんなに暑いのだろう!!!
陸兄さんが眠ってから出ようと思っていたが、もう我慢できなかった。この頃、由紀は陸に甘やかされていたのだ。
陸は彼女の足音と小さな不満の声を聞いて、唇の端をかすかに引き締めた。
バスルームのエアコンはもちろん彼が壊したものだった。そうしなければ、どうやって彼女をこんなに早く出てこさせることができただろうか?
彼女には彼から逃げる方法があるなら、彼には彼女を逃がさない方法を考える必要があった!
由紀はベッドの側に歩み寄り、陸の規則正しい呼吸を聞いて、甘く柔らかい声で言った。「陸兄さん、眠っちゃったんだ……」
彼女は陸に待たないでと言ったのに、出てきて陸が本当に眠っているのを見ると、由紀はなんとなく寂しさを感じた。
彼女は反対側から布団をめくり、柔らかな体をゆっくりと中に滑り込ませた。
彼女はいつものようにベッドに入るとすぐに遠慮なく陸の腕の中に転がり込み、両手で陸の腰を抱きしめ、二人の体を密着させることはしなかった。
由紀は実は強く望んでいたのだが……
陸の安らかに眠る顔を見ていると、頭の中に浮かんだ小さな黒い人影が再び彼女に警告した。
「今田由紀、あなたはなんて厚かましいの!あなたはこんなに汚いのに、陸兄さんがあなたと同じベッドで寝ることを許してくれただけで満足すべきなのに、どうしてまだ陸兄さんの腕の中に入ろうなんて思うの?あなたの体がどれだけ汚いか分かってる?何時間お風呂に入っても、あなたが汚れているという事実は隠せないわ。彼から離れなさい!あなたの体から発する汚い空気で彼を不快にさせないで!」