第69章 星野社長と噂のある新人

一瞬のうちに、元々青木盈子と東雲敏の周りを囲んでいたメディアが、一斉に初陽へと押し寄せた。

様々な質問が、次々と飛び交う。

しかし、どれも良い質問ではなかった。

「葉山さん、『元年』はあなたが受けた最初のドラマですか？あれほど大規模な制作の重要な作品で、なぜ彼らは新人のあなたを女優主役に選んだのですか？何か裏があるのでは？そんなに美しいのは枕営業があったからですか？」

結局『元年』の女優主役を彼女が獲得したことで、しかも無名の新人だったため、多くの人が疑問を抱いていた。

初陽は動じることなく、軽く微笑んだ。

「『元年』の出演前に、私はドラマ『桜華のような美人』の撮影を終えており、先日は映画『華麗なる歳月』の出演も決まりました。確かに私は新人と言えますが、海外で2年間演技を学び、大作や有名監督の下で国際映画制作にも参加してきました。演技に関しては非常に自信があり、松本監督の足を引っ張ることは絶対にありません。なぜ私が女優主役に選ばれたかについては、目が見える人なら誰でも理由がわかるはず...裏なんて何もありません...」

彼女の話し方は、進退をわきまえていた。

すべての質問に対して、簡潔な言葉で巧みに対応していく。

その美しい瞳がゆっくりと動き、漂う浅い碧波が誰かに向けられると、その人は全身の血が逆流するような感覚に襲われる。

美しさと妖艶さを兼ね備え、端正さと優雅さが混ざり合っていた。

一つの質問が終わると、また別の人が尋ねた。「『華麗なる歳月』？あぁ...あなたが星野社長と噂になった新人ですね？葉山さん、あなたと星野社長の関係について教えていただけませんか？恋人同士なのですか？それともあの夜、本当に枕営業があったのですか？」

「そうですね、星野社長がタレントと噂になったのは初めてですが、彼はその情報を封鎖しませんでした。あなたのことが好きなのでしょう。その後の進展はありますか？」

「星野社長と黒川社長は親友だと聞いています。黒川社長があなたを『元年』の女優主役に選んだのは、星野社長の影響ですか？」

「そう考えると、あなたが『華麗なる歳月』と『元年』の両方の役を立て続けに獲得したのは、星野社長が裏で後押ししたからということですね？」

星野寒に関するすべての質問が、このように浮き彫りになった。