第22章 不法侵入

運転手が前から頭を伸ばし、石川桐人を少し不思議そうに見た。

「先生、なぜ嘘をついたのですか?私の記憶では、先生は一度も徳陽高校に通ったことがないはずですが?」

桐人は彼に答えず、長く白い指で、隅に捨てられていた新聞を手に取った。

目に飛び込んできたのは、特に太い文字の見出しだった。

【星野グループCEOが新人女優葉田初陽とホテルへ】

見出しの下には、男女が抱き合う写真が印刷されていた。

「行こう……」最後に彼は小さく二言だけ言った。

運転手は自分の雇い主の冷たさを感じ取り、これ以上質問する勇気はなく、車に戻って発進し、漓江マンション区を離れた。

……

初陽は家に帰り、ソファに倒れ込んでようやく我に返った。

また何か妖怪に出会ったのか、喜怒哀楽が激しく、表情がコロコロ変わる。

この石川桐人は、ただの単純な人物ではない。

一連の言葉で、彼女を混乱させるところだった。

人から褒められたことがないわけではないのに、なぜさっきの自分は慌てて逃げ出したのだろう?

今日、ヴィックと春木錦の桐人に対する態度から、彼の身分が並外れたものであることを理解した。

おそらく、彼は単なる新進気鋭の映画スターという身分だけではなく、風影の裏のボスは桐人なのではないだろうか?

長い指を髪に差し込み、目を閉じて考えたが、どうしても筋道が立てられなかった。

薬を盛った人物はまだ突き止められておらず、次のステップはどうすべきか?

有名になりたい、一世を風靡したいなら、「華麗なる歳月」この映画だけでは確実に不十分だ。

今や風影会社は彼女と可美に対して大きな圧力をかけている。どうすれば逆転して、見事な一戦を繰り広げられるだろうか?

今日の星野寒との報道は、彼女が不利な立場に立たされ、無数のネットユーザーから罵倒や攻撃を受けているように見えるが、少し世論の方向性を誘導すれば、彼女の悪評は完全に払拭できる。

名声か?すでに広まった。次は、どうするべきか?

「ドンドン」ちょうどそのとき、ドアが誰かに強く叩かれた。

初陽は顔を上げ、思わず眉をひそめた。

彼女の住まいには、訪問者はほとんどなく、可美は彼女の部屋の鍵を持っている。

つまり、外でドアを叩いている人は確実に可美ではない。誰が彼女を訪ねてきたのだろう?