第37章 お嬢様の私はあなたと遊ぶ時間なんてないわ

黒川源の顔は、完全に炭のように真っ黒になった。

向かいにいる、あの傲慢で腹黒い女を見つめ、歯ぎしりするほど憎らしく思った。

「……」

「覚えておきなさい。今後私に会ったら礼儀正しくするのよ。さもないと今すぐあなたの足を踏み潰すわよ……」彼女は唇を曲げて低く笑い、崩壊の縁にいる男を見つめながら、再び挑発的に言った。

こういう傲慢で自惚れた男には、彼より先に手を出し、彼より容赦なく行動しなければならない。そうしなければ、彼は本当に彼女を柿だと思い、好き勝手に揉んで虐めるだろう。

彼女、葉田初陽は転生した以上、人に虐められ侮辱されるつもりはない。

「どう?承知するの?……」

源は顔色を青白く変えながら怒った。こんなに豪胆で、こんなに冷酷な女を見たことがなかった。

初めて、初めて女が彼の頭上に乗って威張り散らすなんて。

しかも、彼女は彼を脅している?

「黙っているなら、承知したと思うわよ……ね?」彼女は眉を上げ、続けて尋ねた。

源は目を伏せ、彼女を一瞥してから、彼女の背後の方向を見た。

「さっきあなた、非常口のところで何をこそこそしていたの?壁に耳を当てていたようだけど……」

彼女は人の弱みに付け込み、彼が注意していない隙に、先に彼の弱点を掴んだ。

ならば彼も声東撃西、こっそりと。彼女はさっき絶対に良いことをしていなかったはずだ。

案の定、次の瞬間、初陽の顔色が変わった。しかし彼女はすぐに落ち着きを取り戻した。

「何を言っているの?わからないわ……」彼女はとぼけて、知らないふりをした。

「大丈夫、僕はさっきスマホで密かに録画していたんだ。君がこそこそしている様子、全部スマホに撮ったよ。もし認めないなら、その非常口の中に何があるのか見に行こうか?」源は彼女の目に一瞬浮かんだ驚きを素早く捉え、唇を曲げて言った。

状況は急速に逆転し、これは初陽が全く予想していなかったことだった。

この男、ただ者ではないな。

足を上げ、彼女は彼から一歩下がった。

「見に行くなら、あなた一人で行きなさいよ。私にはあなたと遊んでいる暇なんてないわ……」彼女は眉を上げ、冷静に言った。

源は彼女を恨めしげに睨みつけ、かがんで痛む足の甲をさすった。頭を下げた瞬間、彼の目には異様な光が宿っていた。