第58章 何の妖怪か

再び目を開けたとき、彼女は空腹で目を覚ました。

丸二日近く何も食べていなかったため、お腹が空城計を奏で始めていた。

濃い睫毛がはためき、彼女は震えながら目を開けた。暖かい陽光が窓から差し込み、怠そうに彼女の目に降り注いでいた。

一瞬の眩しさに、彼女は目を細め、手で陽光を遮った。

少し落ち着いてから、彼女は頭を横に向け、歯を食いしばって少し弱った体を支え、ベッドの頭に寄りかかった。

喉は乾いて痛み、全身に力が入らない。この大病で、彼女は命を半分失いかけていた。

次は二度と我儘を言って冷水シャワーなどで体を痛めつけないようにしよう。星野寒というあの嫌な男に腹を立てて、一時の思いつきだった。

目を周囲に巡らせると、白い壁と青いベッドカバー、空気中には消毒液の匂いが漂っていた。

眉をひそめ、少し不安になり、慌てて自分の体を確認した。

前世から残った後遺症で、病院にいると恐怖を感じずにはいられなかった。

自分が病室に監禁され、白いウサギのように手術台に縛り付けられ、人の思うままに切り刻まれることを恐れていた。

体は無事だったが、手の甲が少し痛かった。

おそらく高熱を出して、点滴を受けたのだろう。

目を動かして周りを見回していると、ベッドの端に黒い塊のようなものが見えた。一体何だろう？

彼女は驚いて、すぐにベッドサイドテーブルからコップを取り、その黒い塊に向かって力いっぱい投げつけた。

「何の妖怪？」

「あっ……」その塊が叫び声を上げ、すぐに体を起こした。

初陽は手からコップを落とし、髪が乱れ、顎に青い短い無精ひげを生やした男性を見つめ、一瞬呆然とし、手からコップが滑り落ちた。

「村田城……」

城は歯を食いしばり、後頭部を押さえながら、泣きそうな顔で初陽を見つめ、床に落ちたガラスのコップも見た。

「姉さんよ、俺がどこで妖怪に見えるんだよ。どこで俺があんたに恨まれるようなことしたんだよ？あんたが病気になったこの二日間、俺は寝る間も惜しんで看病してたんだぞ。感謝しないならまだしも、恩を仇で返すとは？俺の頭、穴が開くところだったぞ……」

初陽は口角を引きつらせ、少し恥ずかしそうに干笑いを二つ三つ漏らした。

「あのね城、姉さんは故意じゃなかったのよ。さっき黒い塊みたいに見えて、何か汚いものかと思ったの……」