第125章 彼女たちの悪巧み

初陽は淡いブルーのウエストマークされたロングドレスを着ていた。眉目に宿っていた鋭さはすでに消え去り、沢田蛍特有の優しさだけが残っていた。彼女は夕日の下で静かに立ち、一筋一筋の夕焼けが彼女の体に降り注ぎ、朧げな美しさを醸し出していた。

「どうしたの?私にこだわるつもり?」初陽は冷ややかな表情で、一歩一歩黒川源に近づいてきた。

黒川源の心が震え、思考を引き戻し、目を細めて微笑んだ。

「自分がどれだけ美しいか知らないの?千変万化の美しさを持つ...」

初陽は眉をひそめ、キラキラと輝く源の瞳を見つめた。

「源、誰も教えてくれなかったの?私は手を出してはいけない毒蛇だって。そんなに危険なのに、まだ触れようとするの?」

「危険だけど、抗えない魅力も持っている...」源はバラの花を初陽に差し出し、にっこりと笑った。

初陽はバラの花をじっと見つめ、唇を曲げて微笑んだ。

「ふん...誰も教えてくれなかったの?私が一番嫌いなのはバラだってこと。俗っぽくて耐えられない。他の人にあげなさい。きっとどんな女の子でもあなたの花をもらったら、喜んで体を洗ってベッドで待っているでしょうね...」

源は口角を引きつらせた。この女は本当に恥知らずな物言いをする、よく言えるものだ。

彼には多くの女性が喜んで体を差し出すような魅力があった。

しかし、前提として、今の彼の心は葉田初陽でいっぱいだった...

「じゃあ何が好きなの?君が好きなものなら、何でも手に入れてあげるよ...」

初陽は眉を上げ、答えようとした時、視線が動き、突然春木錦の姿を見つけた。そして錦の隣にいる女性が初陽の注意を引いた。

その女性のシルエットはどこか見覚えがあった。初陽は眉をひそめ、どこでこの女性に会ったのか思い出そうとした。

頭の中で閃き、目が輝いた。思い出した。この見覚えのある女性は、あの夜東雲敏の側にいて、敏とひそひそ話をしながら初陽を盗み見ていた女性ではないか?

彼女は一体誰なのか?なぜ今度は錦と一緒にいるのか?

「錦の隣にいるあの女性、知ってる?」初陽は心の驚きを抑え、源の方を向いて小声で尋ねた。

源はまさに初陽の答えを心待ちにしていたところだったのに、全く関係のない質問をされた。

しかし、彼はそれでも振り向いて錦の方を見た。