春木錦は赤いスパンコールのボディコンドレスを身にまとい、彼女のセクシーな曲線を余すところなく強調していた。
精巧で美しい顔立ちには濃いメイクが施され、真っ赤な唇と黒いサングラスが、まるで血を吸う妖艶な女のような美しさを醸し出していた。
特に胸元の深い谷間は、周囲の多くの男性の視線を釘付けにしていた。
少なからぬ男たちが目を輝かせ、錦の周りを取り巻いていた。
錦は妖艶な笑みを浮かべながら、数人の男たちと肩を組んで酒を飲み、雰囲気は非常に賑やかで艶やかだった。
突然、三十歳ほどの、いかにも家庭的な主婦然とした地味な格好の女性が、怒りを含んだ様子で錦の前に歩み寄った。
その女性が何かを言うと、錦の小さな顔に冷たい霜が降りたように表情が変わり、突然立ち上がって赤ワインを女性の顔にぶちまけた。
その主婦も手ごわい相手で、手で顔についた赤ワインを拭うと、歯を食いしばって錦の髪をつかみ、引っ張った。
「この狐!人の家庭を壊して、ろくな死に方しないわよ…」女性は錦の髪を引っ張りながら、大声で叫んでいた。
錦は痛みで悲鳴を上げ、抵抗する力もなかった。
この光景を目にした初陽は、眉を上げ、瞳に興味の色を浮かべると、振り返って優奈に言った。「行こう、見物に。必要なら火に油を注いでやろう…」
優奈は動かず、初陽の手首をつかんだ。
「初陽、このナイトクラブが誰のものか知ってる?」
初陽は一瞬戸惑い、優奈の言葉に何か含みがあることを感じ取った。
「どういう意味?」
優奈は少し乾いた唇を舐め、目で周囲を確認すると、異なる場所に立っている黒服の男たちを指差した。その中の何人かは錦の方へ向かっていた。
「あの黒服の人たち見える?彼らはナイトクラブの警備員で、このナイトクラブは錦の父親、春木商が経営しているの…」
優奈の言葉が終わるか終わらないかのうちに、初陽は数人の黒服が錦のもとに駆けつけ、錦の髪をつかんでいた女性を両側から引き離すのを目にした。
照明は暗かったが、女性の指に絡まった数本の髪の毛は見えた。
ワインレッドの髪が指から落ち、空気中に散った。
錦は少し狼狽えながら服を整え、痛む頭皮をさすりながら、美しい瞳から血に飢えたような冷酷な光を放った。
彼女は手を上げて黒服を呼び、赤い唇を噛みしめながら命令した。「彼女を外に放り出して、少し懲らしめて…」