第173章 私は残酷？怖いか？

もし第一段階で長谷川夫人が初陽を懲らしめることに成功していたら、橋本奈子は間違いなく計画通りに次の段階に進み、これらの夫人たちを利用して彼女のために行動させ、さらには人を殺めさせるつもりだった。

もし計画が失敗したとしても、奈子はすでに逃げ道を考えていた。

しかし残念なことに、どれほど計算していても、奈子は二つのことを見落としていた。

一つ目は、星野寒が蒼山に来て、雷のような手腕で容赦なく長谷川夫人を罰したこと。

二つ目は、初陽が他人に揉み潰されても反撃しない愚か者ではないということ。

月が暗く風が強い殺人の夜、今日初陽は橋本奈子の皮を一枚剥がさなければ、葉田の名が泣く。

逃げようとしている？そう簡単にはいかない……

初陽は静かに腕を組み、廊下の中央に立ち、平静な眼差しで一歩一歩自分に向かって歩いてくる奈子を見つめていた。

夜の闇の中、奈子は初陽の姿をはっきりと見ることができず、うつむいたまま足早に歩いていた。

初陽の横を通り過ぎようとした時、初陽は手を上げて「パチパチ」と拍手を始めた。

「素晴らしい、本当に素晴らしいわ……久しぶりね、橋本先生。演技の腕前がずいぶん上達したわね。何も言わず、何の合図もなしに、これらの女たちを簡単に操り、まるで狂犬のように、あなたのために働かせるなんて……」

奈子は足を止め、体が思わず小刻みに震えた。この声は、どうして葉田初陽のものにそっくりなの？

足を止めると、彼女はゆっくりと振り返り、突然初陽を見た。

見慣れた顔の輪郭が彼女の瞳に映った時、奈子の顔は真っ青になり、信じられないという表情を浮かべ、まるで幽霊でも見たかのように恐怖の表情を浮かべながらよろめいて後ずさりした。

助手がすぐに奈子を支えると、奈子の細く尖った爪が、助手の手の甲の肉に深く食い込んだ。

助手は痛みで小さく叫び、それが奈子を我に返らせた。

奈子は心の中の激しい動揺を必死に抑え、震える手を上げて初陽を指さして尋ねた。

「あ……あなた……どうしてここに？」

初陽は少し眉を上げ、手で唇を覆い、冷たさを含んだ澄んだ笑い声を漏らした。