第250章 葉山さん、私を罵っているのですか

沢田鶴は服のしわを整えた。彼の瞳の奥は暗く沈んでいたが、それでも怠惰で傲慢な笑みを浮かべていた。

「葉山さん、もっと早くお会いできていたら、こんなに不愉快なことも起きなかったでしょうに。橋本奈子なんて所詮何の価値もない。彼女がどうして葉山さんと比べられるでしょうか？」

初陽は小さく笑い、瞳の奥に一瞬よぎった嫌悪感を隠しながら、優雅に立ち、沢田を見つめた。

「沢田さんは本当に冷酷ですね。彼女は少なくとも数年間あなたに尽くしてきたでしょう。女性の最も美しい青春時代を全てあなたに捧げたのに、あなたは捨てると言うだけですか？」

「葉山さん、彼女はあなたにあれほど酷いことをしたのに、あなたは彼女のために正義を求めるのですか？」沢田は眉を少し上げ、低い声で尋ねた。

初陽は何も答えず、再び冷たく笑った。

振り向いて部屋を見回し、隅に縮こまり、ほとんど裸同然で震えている女性たちを見つめた。

「そんなに怖いなら、なぜまだここにいるの？」

女性たちは初陽を見る目が次第に輝きを増していった。

初陽のこの一言は、彼女たちに生きる道を開いてくれたのだ。

女性たちは初陽に何度も感謝の言葉を述べ、次々と部屋から逃げ出した。

沢田は眉を上げて見ていたが、止めようとはせず、初陽を見つめる視線はますます熱を帯びていった。

この女性は興味深い。危機に動じず、冷たく高慢な雰囲気を持ち、まるで男性のような無視できない存在感を放っている。

「葉山さんは、善良な心をお持ちですね…」

「無駄口を叩かないで。さっきあなたはあんなに残酷に女性を扱っておいて、まだ『善良』なんて言葉を使う資格があるの？あなたは狼の皮を被った獣、人の血を吸う吸血鬼よ。あなたのような残忍な人間は、百回死んでも、犯した罪を償えないわ」初陽は冷たく嘲り、鋭い眼差しを向けた。

沢田の目が沈み、口元の笑みがゆっくりと消えていった。

彼は一歩前に出て、初陽に近づいた。

「葉山さん、私を罵っているのですか？」

初陽はまた冷たく鼻を鳴らし、表情は冷淡だった。

「ふん…あなたのような悪事を重ねる人間は、最終的に自分の犯した罪の代償を痛いほど払うことになるわ」