初陽は疑問を抱えたまま星野寒を見つめ、軽く唇を噛んだ。
「外で一時間も待っていたの?」
「ごほん……」寒は拳で薄い唇を覆い、小さく咳払いをして、その不自然な恥ずかしさを隠そうとした。
堂々たる大企業の社長が、一人の女性の気持ちを考慮して、まるでバカのように玄関の外に丸一時間も立っていたなんて。
こんな恥ずかしいことを、うっかり口を滑らせてしまったが、否定できるだろうか?
何度か咳をした後、寒はすぐに否定した。「いや、嘘だよ……」
初陽は口元を少し上げ、くすりと笑って追及するのをやめた。
あからさまな恥ずかしさと、あからさまな隠し方。彼女が見抜かないはずがない。
この男のぎこちない様子に、初陽は呆れるばかりで、もうこれ以上どうでもいいことにこだわるつもりはなかった。
寒は目を上げて初陽を一瞥し、彼女がもう追及しないことに気づくと、ほっと息をついた。手に少し力を入れるだけで簡単にドアを開け、部屋に足を踏み入れた。
次の瞬間、初陽が寒の厚かましい行動に呆然としていると、大きな束の青いバラが彼女の視界に飛び込んできた。
「ほら、道端で花を売っている子供に出会ってね、かわいそうだったから全部買い取ったんだ。置き場がなくて、とりあえずここに置かせてもらうよ」寒は平然と、真顔で青いバラを初陽の腕に押し付けながら、極めて冷静な口調で言った。
広田崇はドアの外に立ち、目の前に黒い線が浮かんだ。
星野社長の作り話はあまりにもレベルが低すぎる。どんな子供が青いバラを抱えて街中を歩き回るというのか。99本の青いバラの値段は安くはないし、ましてやこの高級品種の青いバラなら、5桁の値段はするだろう。
誰が頭がおかしくて、子供に5桁もする青いバラを持たせて歩かせるというのか。
崇は舌打ちして感心した。日に日に、彼の社長は本当に狂ってきている。葉田初陽に会うと、その知能指数はゼロに等しくなってしまう。
いけない、少し離れなければ。このままでは社長の異常な行動にまた驚かされることになる。
崇はそっと数歩移動し、非常口まで行って、ドアに寄りかかりながらポケットからタバコを取り出した。
「どう?きれいでしょ?この花束、100元で買ったんだ……」部屋の中から寒の声が再び漏れ聞こえてきた。