第248章 こんなクズは死ぬべきか

その後、1分もしないうちに、彼女の顔は苦痛で歪み、手足をばたつかせて、彼女の上に覆いかぶさる男を必死に押しのけようとした。

沢田鶴は鋭い唇と歯で、女の肌を容赦なく噛み裂いていた。

その血の滴りは、灯りに照らされ、妖しく淫靡に輝いていた。

女は苦痛に耐えかね、哀願した。

初陽と星野寒が到着した時、目に飛び込んできたのはこのような狂気じみた恐ろしい光景だった。

初陽は震える両手をきつく握りしめ、怒りが胸の内で燃え上がるのを感じた。

彼女は鋭く息を吸い込み、眉目には明らかな殺気が宿っていた。

寒の方を振り向き、歯を食いしばって尋ねた。

「寒、こんな人間のクズは死ぬべき？あの人は悪魔よ……」

「死ぬべきだ。八つ裂きにしても足りないほどだ……」寒の周囲には冷気が漂い、低く沈んだ声で答えた。

初陽の心には、理由もなく怒りが湧き上がってきた。

彼女は目を細め、唇を引き締め、一言も発せずに個室に足を踏み入れ、テーブルからフルーツナイフを手に取り、一歩一歩、鶴に近づいていった。

初陽は自分の力量を知っていた。彼女はこの畜生を手にかけることはできないが、それでも全力を尽くそうとしていた。

広田崇は目を暗くし、驚きの色を浮かべ、急いで星野寒の方を見た。

「星野社長、これは……」

「彼女を助けてやれ。彼女の手が血で汚れるのが惜しい、あんな男のためには……」寒は顔を曇らせ、眉をひそめながら煙たい個室に入っていく彼女の姿を見つめ、低い声で命じた。

今の鶴は、死期が迫っているというのに、自分ではそれに気づかず、まだ幻想に包まれたまま、ぼんやりと紂王のような帝王の夢を見ている。

知らぬとは、国の滅びは目前、命も長くはないということを。

崇はすぐに応じ、前に進み出て、初陽の手から刃物を奪った。

「私がやります……」

彼は刃物を床に投げ捨てた。その鋭い音が鶴の注意を引いた。

鶴は両腕で体を支え、勢いよく飛び上がった。

彼は素早く動き、数歩で次の瞬間には、崇の首に向かって手を伸ばした。

崇も身のこなしが優れており、軽々と身をかわし、鶴の攻撃を避けた。

鶴は低く唸り、顔を歪め、崇の前に立ちはだかり、一戦交えようとした。

しかし初陽は恐れることなく鶴の前に立ち、鋭い目で彼を見つめた。

唇を少し曲げ、静かに笑いながら言った。