やはり前世の記憶通り、田中祐介(たなか ゆうすけ)は宵月司星を陥れ、彼の潔白な名誉を汚し、評判を台無しにして、帝晟グループの継承権を失わせようとしていたのだ!
時間も場所も、一切変わっていない!
「やめて!んっ……」木村伊夜は力を込めて司星を押し返し、逃げようとした。
しかし男は勢いに乗じて彼女の手首を捕まえ、しっかりと自分の腕の中に引き寄せると、再び身をかがめてキスを重ねた。
司星は彼女を抱きしめ、大きな手のひらで彼女の頬を撫でた。
彼女の抵抗を無視し、二人の唇がぴったりと重なり合い、彼は巧みに彼女の唇をこじ開け、そのキスを深めていった。
伊夜はベッドシーツをきつく握りしめた。
彼女の澄んだ瞳を大きく見開いて、上に覆いかぶさる男を睨みつけ、突然彼の唇を強く噛んだ。
「くっ——」
司星は痛みに顔をしかめ、伊夜から離れた。
「星夏!俺の忍耐を試すな!」
細長い鳳凰のような目を細め、彼は下にいる女性を見つめ、その眼差しには威嚇と警告の色が混じっていた。
舌先でゆっくりと唇の傷をなめ、彼は指の腹で残った血を拭い取った。その姿は妖艶で魅惑的だった。
「ごめんなさい!」伊夜はこの機会を逃さず、司星を強く押しのけ、逃げ出そうとした。
彼女はもうここにいられなかった!
「俺をその気にさせておいて、逃げられると思うな。」
司星は大きな手で彼女の服を引っ張り、ベッドから降りようとしていた伊夜の服を粉々に引き裂いた。
「きゃっ——」
伊夜は驚きの声を上げたが、すぐに男に強く押さえつけられ、もがくことさえできなくなった。
「カチッ——」
突然、耳元で鋭い音が響いた。ホテルの部屋のドアが外から鍵をかけられたのだ!
司星の目が深く沈んだ。彼は目線を落とし、下で絶えずもがく女性を見つめ、今夜の出来事すべてを考えているようだった。
この女性は、確かに無実のようだ……
だが同時に、人を惑わす妖精でもあった!
「俺にくれ。」司星の薄い赤い唇が開いた。
彼は熱い息を荒く吐き、それが伊夜の首筋にかかり、しびれるような快感を与えた。
その妖艶な顔にほんのり赤みが差し、セクシーで気まぐれな様子でありながら、威圧感も漂わせていた。
「いや……」伊夜の拒絶は、彼のキスで封じられた。
司星の高い鼻筋に細かい汗が浮かび、長い間我慢していたかのように、頬は赤く染まっていた。
伊夜の魅惑的な小さな顔は、彼にとって抗いがたい究極の誘惑だった!
「必要なら、ちゃんと責任は取る。」
司星は目尻を上げ、美人よりも魅力的な艶やかさと妖艶さを漂わせ、まさに妖艶な存在だった!
伊夜の体は激しく震えていた。
「あっ……」
彼女は引き裂かれるような痛みを感じ、細長い指で男の背中をきつく掴んだ。
そのわずかな抵抗が、彼の気分をさらに高揚させた。
「いい子だ、優しくするよ。」司星は唇を曲げ、伊夜の唇を軽く啄み、際限なく求めた。
もういい……
これは前世で彼に借りがあったのだから。
「やるなら、私が上よ。」
伊夜は目を閉じ、ついに決心した。
彼女は突然足を引っ掛け、上にいた司星を倒し、そして身を翻して彼の上に乗り、彼の腰に跨った。
「ほう?」司星の瞳に光が走り、伊夜が自分の上で初々しく振る舞うのを許した。
この女、面白い……
夜は静かに冷え、闇は人の心を惑わせる。
ほのかに灯る淡い照明し、柔らかなベッドで絡み合う二人を照らし、ますます深い情愛と限りない官能を映し出していた。
伊夜の首にかけられたキャッツアイのネックレスの光も、次第に弱いものから明るいものへと変わっていったが、誰にも気づかれなかった。
夜は、まだ長い……