木村伊夜は唇を軽く噛み、申し訳なさそうに言った。「ごめんなさい、道が渋滞していたので……」
「風呂に入れ」宵月司星は彼女を横目で一瞥した。
その後、彼は視線を戻し、眉間を揉みながら、心の中に煩わしさが湧き上がった。
彼女のこんな惨めな姿を見ると、イライラする。
「あ、はい」伊夜は自分の体の汗の匂いを嗅ぎ、一目散に階段を上がった。
確かに公共バスは不快だった。彼女はすぐにでもお風呂に入りたかった。
「彼女はどうやって帰ってきた?」司星は顔を上げ、少し苛立ちを隠せない様子で山崎執事を見た。
渋滞があったとしても、2時間もかかるはずがない。
山崎執事は冷や汗をかきながら答えた。「こ……公共バスで……」
彼は先ほど庭にいた時、偶然伊夜が遠くから歩いてくるのを見かけた。
タクシーなら、運転手は彼女を別荘の玄関まで送るはずだが、バス停は別荘から2、3キロ離れており、歩かなければならない。
「公共バス?」司星の瞳が急に暗くなった。
薔薇園の運転手に送迎を頼まないとしても、月給百万円もあれば、タクシー代くらい惜しまないだろうに。
「わかった」彼は突然立ち上がり、階段を上がった。
浴室内では、湯気が伊夜の完璧で輝くような肌を包み込み、シャワーの音が響いていた。
伊夜は長い時間シャワーを浴び、何度もボディソープを塗り直して、ようやく体の汗の匂いが洗い流されたと感じ、バスタオルを一枚巻いて浴室を出た。
「痛っ——」
正面で、彼女はドアの前で待っていた男性の胸にぶつかった。まるで石のように硬かった。
伊夜は額を擦りながら、不満げに文句を言った。「なんでここに立ってるの?」
「お前を待っていた」司星は目を伏せて彼女を一瞥した。
彼の視線からは、伊夜の豊かな胸元と、そこから続く谷間がはっきりと見えた。
バスタオルは少し短く、彼女の丸い臀部を覆うだけで、細くて長い二本の脚が露わになっていた。
「服を着ろ」司星は視線をそらした。
あの夜の情熱を思い出し、彼は自分の下腹部が引き締まり、抑えきれない邪な火が燃え上がるのを感じた。
「あ」伊夜は自分を見下ろし、バスタオル一枚で男性の前をうろついていたことに気づいた。
彼女は急いで胸の前に手を当てた。「変態!」
言い終わるや否や、彼女は身を翻して服を着に行こうとした。