ブラックカードは好きに使っていいが、買えるのは俺だけ

宵月司星の剣のような眉が、わずかに寄った。「そんなにたくさんのお金で何をするつもりだ?」

木村伊夜はしばらく考え込んだ。

彼女は指を折りながら彼に細かく説明した。「クラブで踊ったり、バーで飲んだり、ドラッグをやったり、ギャンブルしたり、売春したり……結構な出費が必要なのよ」

伊夜の澄んだ瞳には少しの濁りもなく、その表情は真面目そのもので、極めて真剣だった。

司星は細長い目を急に細めた。「売春?」

彼は思いもよらなかった。噂では枕営業を一切受け付けないという歌姫理央が、そんな趣味を持っているとは?

いや違う、今は彼女のことを歌姫星夏と呼ぶべきだろう。

「このブラックカード、好きに使っていいが、売春するなら俺だけにしろ」司星はスーツのポケットから本革の財布を取り出し、ブラックカードを一枚抜いて彼女に差し出した。

伊夜は杏のような目を見開いた。

「いやいやいや……とても手が出ないわ!」彼女は何度も手を振り、気まずそうに司星を見つめた。

しかし実際、伊夜の心の中では……

司星は頭がおかしくなったのか、それとも何か変な薬でも飲んだのか!まさか彼女に自分を買わせるなんて!

「本当に売春するつもりだったのか、ん?」司星の声のトーンが少し上がり、思わず可笑しくなった。

伊夜はゴクリと唾を飲み込み、内心で毒づいた。

もし可能なら、彼女は実は……かなり買いたかった。

「取れ」司星は眉を軽く上げた。

彼はブラックカードを伊夜のバスタオルの中に滑り込ませ、あの二つの誇らしげな膨らみに密着させた。

そして、彼は手をズボンのポケットに滑り込ませた。

たとえ伊夜が今自分の身分を知らなくても、宵月奥様が貧乏で彼の顔に泥を塗るわけにはいかない。

「ブラックカードなんていらないわ、私は給料が欲しいだけ!」伊夜は足を踏み鳴らして抗議した。

しかし、彼女がブラックカードを取り出した時には、司星はすでに堂々とした足取りで立ち去っていた。

伊夜:「……」

くそったれ司星、金持ちだからって偉そうにしやがって?

木村凪咲のブラックカードがD国でしか使えないせいでなければ、とっくに病院で散財していたところよ!

「ちっ」伊夜はそのブラックカードを嫌そうに見つめ、そのままゴミ箱に投げ捨てた。