「パトロンよ、まだ来ないの?」

「本当?」木村伊夜の美しい瞳がきらきらと輝いた。

その様子を見て、宵月司星の眼差しが急に冷たくなった。彼は突然伊夜の手を離し、何かに腹を立てたかのように、振り返って階段を上がっていった。そこには傲慢で冷淡な背中だけが残された。

これに対して、伊夜はまったく気にしていなかった。

彼女は顎に手を当て、心の中で損得を計算していた。「聞いた感じ、かなりお得みたい…」

そして、伊夜は早々にバスルームに入り、花びらのお風呂に浸かり、特別にバラの香りのボディローションを塗ってから、司星の部屋へ向かった。

「お金よ、スポンサーよ…」伊夜は柔らかいベッドに仰向けに寝転がり、細い白い足を揺らしながら言った。「あなた、まだ来ないの?」

彼女は最初、セクシーなナイトウェアを着るか、バスタオル一枚で司星のベッドに忍び込もうと考えていた。

あれこれ考えた末、彼女はそこまで大胆になれなかった。

結局、あまり情欲をそそらない白いナイトドレスを着ることにした。足首まである長さで、かなり保守的なものだった。

「木村伊夜、ここで何をしている?」

司星の冷たい声が、突然ドアから聞こえてきた。

彼は自分の寝室に入るなり、女性が彼のベッドに横たわり、二本の細くて白い長い脚を露出しているのを見た。

ちょうど彼女が足を上げていたため、ナイトドレスが自然と下に滑り落ち、下着が見えそうになっていた。

「あなた、今夜私を買うって言ったじゃない?」伊夜はすぐに足を引っ込め、ナイトドレスを引いて身体を隠した。

司星は言葉を失った。

彼は冗談で言っただけなのに、彼女は本気にしたのか?

「そんなにお金に困っているのか?」司星の周りに突然理由のない怒りが湧き上がった。「身を売ることまで、喜んでするほどに?」

その言葉を聞いて、伊夜の瞳の光が少し暗くなった。

彼女も本当は身を売るつもりはなかった。前払いの給料をもらえず、就職の道も見つからなくて…

それに、これは身を売ることにはならないでしょう。彼女は元々彼を愛していたのだから。

「教えてくれ、お前が金を必要とする本当の理由を」司星は矢のように速くベッドに近づき、横たわっている伊夜を引き起こした。

伊夜は頭を垂れた。「言えないわ」