美食と美男は両立できない

夕食のテーブルで、宵月司星の黒い瞳にはずっと笑みが宿っていて、使用人たちの気持ちもリラックスさせていた。

木村伊夜は蟹黄湯包を味わいながら、すっかり楽しんでいた。

「本当においしい」彼女は小鳥のようにコクコクと頷いた。

司星がよく口にしていたのも無理はない。前世からずっと期待していた甲斐があった。

彼は薄い唇を軽く上げ、色気たっぷりに「どうして俺が万香閣の蟹湯包が好きだって知ってたんだ？」

山崎執事は、若様が嬉しそうな様子をこっそり見ていた。

まさか若奥様が二籠の小籠包だけで、彼をこんなに喜ばせられるとは。執事はとても安心した。

「若帝の生活アシスタントとして、あなたの好みを知っておくのは当然でしょ！」少女は当然のように言った。

言い終わるや否や、彼女はまた慎重に一つの小籠包を箸で摘み、二度息を吹きかけてから、司星の器に入れた。

澄んだ瞳の中には、清らかさが満ちていた。

司星は目を細め、うつむいてその蟹湯包を見つめた。「言ってみろ、何か頼みごとがあるんだろう」

元々は小さな野良猫だったのに、今日は小さな白うさぎに変わっていた。

こんなに素直なのは、以前のやんちゃな伊夜らしくない。

「そんなことないわよ！」伊夜は瞬時に毛を逆立てた。

小さな野良猫の本性がすぐに現れ、彼女は小さな手を伸ばして、司星の前にある器を奪い取った。

中にはまだ彼女が自ら箸で運んだ小籠包が入っていた。

「食べたくないならいいわよ」少女は明らかに不機嫌になっていた。

やっとこさ彼に優しくしようと決めたのに、このブタ野郎は感謝もしない。

ふん、考え直した。もう好きじゃない、好きじゃない！

「誰が食べないって言った？」

司星の表情が急に暗くなり、大きな手で一掴みすると、伊夜が抱えていた器を奪い返した。

「いくつか片付けてやる。お前が食べ過ぎて病院に連れて行かなきゃならなくなったら面倒だからな」

言うや否や、彼は箸を取り、湯包を直接口に放り込んだ。

司星「……」

少し熱かったが、彼はプライドを保つ必要があった。

彼の表情は非常に苦しそうだったが、結局その熱々のスープが入った蟹包を飲み込んだ。

「あの……大丈夫？」伊夜は手を伸ばし、視線を横にそらしながら、軽く彼を二度突いた。

心の中では「もう好きじゃない、好きじゃない」と言いながらも。