「君が木村伊夜か?」

「美晴、池田先輩とは親しいの?」

川崎凛香は完全に夢中になった顔で、少し興奮気味に言った。「彼に私たちのグループを個別に指導してもらえたらいいのに……」

池田雄介、池田家の唯一の後継者。

皇家芸術学院の演劇科に合格できたのだから、彼のルックスが優れていることは言うまでもない。しかも完璧なイケメンで、皇家芸術学院の歩くフェロモンと称され、彼氏力が爆発している。

そして……彼はまた皇家芸術学院のキャンパスの小さな王様でもある。

「その夢中になった顔をやめなさい」北村美晴は少し冷たく凛香を一瞥した。「先輩が来るのは、私たちの専攻を指導するためだけよ。他の無駄なことは考えないで」

凛香は少し退屈そうな表情を浮かべた。

彼女はもう美晴とこの話題を続けず、振り返って他の女子学生たちと池田雄介のゴシップを話し始めた。

「皆さん、静かにしてください!」

ちょうどその時、演劇の先生がリハーサル室に入ってきた。

みんな一斉に先生に視線を向けたが、それほど長くは続かず、すぐに首を伸ばして外を見始めた。

「今日は、特別に3年生の先輩をお招きして、来週の授業で発表する場面演習の課題を指導してもらいます」

演劇の先生は軽く笑いながら、ドアの外に目を向けた。「それでは、池田雄介先輩をお迎えしましょう!」

言葉が終わるや否や、拍手が鳴り響いた。

すると、絶世の美男子が教室に入ってきた。雄介はカジュアルな服装で、両手をポケットに入れ、野性的でくつろいだ様子で教室に入ってきた。彼の唇の端には、からかうような笑みが浮かんでいた。

「後輩の皆さん、こんにちは」

雄介は片手を抜き出し、額の前の亜麻色の髪をかき上げた。彼の角張った、はっきりとした輪郭の顔は、その仕草によってさらにかっこよく見えた。

「先輩、こんにちはーーー!」

「本当にかっこいい!マジでかっこいい!超絶かっこいい!」

「池田先輩、彼女いるんですか?それとも、どんな女の子が好みですか?私は何にでも変身できますよ!」

教室内は瞬く間に女子学生たちの悲鳴で満ちた。

石原山軒も思わず顔を上げて彼を数回ちらりと見た。「かっこいいといえばまあまあだけど、俺の三兄貴に比べたらまだまだだな。本当に見る目がないよね……」