この野郎、この豚足野郎

木村伊夜はピンク色の唇を少し尖らせ、「ふん」と鼻を鳴らした。

彼女は生理痛なんてないのに、アイスクリームを食べて気分転換するのが何か問題あるの?民は食をもって天となす、美食も信仰なのよ。

少女は不満そうにお尻をさすりながら、こんなに大きくなってからお尻を叩かれるのは少し恥ずかしいと感じていた。

「ふん!」彼女はさらに大きな声で抗議した。

宵月司星は彼女のツンデレな様子を見つめ、黒い瞳に笑みを浮かべた。「さすってあげようか?」

「誰があんたにさすってほしいって言ったのよ!」

伊夜はすぐに司星を押しのけ、連続して二歩後ずさった。

このろくでなし、彼女を叱るという口実で、セクハラするなんて。「帰る、私帰るわ!」

「ああ、私たちの家に帰ろう」司星はうなずいた。

伊夜は「……」

彼女は抱えていたスイーツを握りしめ、怒って足を踏み鳴らした。

どうして彼との家になってるの?彼女は薔薇園に住まわせてもらってるだけで、いずれ引っ越すんだから、ふんふんふん!

「このろくでなし、この豚の蹄め……」

伊夜が小声でつぶやいた途端、手にしていたスイーツが男の大きな手に奪われた。

司星はそのガラスのカップを握りしめ、「冷たい、食べちゃダメ」と言った。

そう言うと、彼はそのバニラヨーグルトパフェをゴミ箱に投げ捨てた。「甘いものが食べたいなら、帰ったら山崎執事に黒砂糖湯を一鍋作らせよう」

伊夜は目を二回瞬かせた。

彼女は黒砂糖湯の甘ったるい味を想像し、さらにその真っ黒な色の鍋一杯を思い浮かべた。

少女は首を振り続けた。「いいえ、結構よ」

怖い怖い。

「急に思ったんだけど、スイーツって、ほんの少しだけ味見するくらいでいいかも……」

伊夜は恐る恐る言った。「ねえ、私こんなに可愛いんだから、一鍋の黒砂糖湯を飲ませるなんてしないよね?」

彼女は気まずく二回笑った。へへへ。

司星は少女の頭をなでながら、「うん、できない」と答えた。

それを聞いて、伊夜はほっとした。

しかし彼女がゆっくりと安心したのもつかの間、彼がさらに「でも一杯ならできる」と言うのを聞いた。

聞こえない聞こえない。

伊夜は手で自分の耳を塞ぎ、一目散に逃げ出した。

司星は彼女が慌てて逃げる姿を見つめ、小さく笑った。心の奥底で、何か異質な感情がさらに強く広がっていくのを感じた。