「星夏、あなたがとても神秘的だと気づいた」

「本当？」杉本裕子は突然興奮した。

黒ぶどうのような瞳を二度ほど回し、彼女は少し不思議そうに木村伊夜を見つめた。「伊夜、あなた…なんだか特別に神秘的よね」

裕子はにやりと笑いながら伊夜を見た。

彼女は突然手を伸ばして伊夜の腰をくすぐった。「もしかして私に内緒で、鉱山でも持ってるんじゃない？」

伊夜はくすぐったがりで、足を使って逃げ出した。「私が鉱山持ってたら、まず真っ先にあなたを囲うわよ！」

二人の少女はキャンパス内を追いかけ回し、暖かな日差しの中で青春の息吹を漂わせていた。

伊夜はあまり速く走れず、すぐに追いつかれてしまった。

裕子は伊夜の腕をしっかりと抱きしめ、ぴったりとくっついた。「木村伊夜、正直に白状しなさい。どうしてそんなにたくさんのコネがあるの？」

星夏のサイン入り写真も含めて。

実は、伊夜は本当に裕子に大量のサイン写真を送っていた。それも星夏本人として送ったのだ。

「顔が美しいからよ！」伊夜は少しも謙虚さを見せなかった。

この答えを聞いて、裕子は腰に手を当てて怒ったが、反論できなかった。「あなたって本当に…」

「おや、ついに認めたの！」

そのとき、川崎凛香が突然高慢ちきに歩いてきて、嫌味な口調で言った。「木村伊夜、やっぱりあなたは体を売って、男に取り入って生きてるんでしょ？」

「川崎凛香、口を慎みなさいよ！」裕子は瞬時に毛を逆立て、飛びかかって爪で引っ掻きそうになった。

「私、何か間違ったこと言った？」凛香は首を伸ばし、顔を赤らめて言い返した。「彼女が自分で認めたんでしょ！」

「あなた…あなた…」

裕子はふんと鼻を鳴らし、顔を別の方向に向けた。「あなたみたいな人とは口を利きたくないわ」

知的障害者と口論しても、自分の品格を下げるだけだ。

凛香は軽蔑した表情で目を回した。「杉本裕子、あなたもそんなに得意になるのは早いわよ！」

裕子は依然として無視を続けた。

凛香は調子に乗って言った。「知らないの？杉本唯奈が決勝でも主審を務めるのよ。彼女と美晴の関係を考えれば、優勝の座は間違いなく美晴のものね！あなたは…」

彼女は軽く舌打ちして、言葉を濁した。

裕子が杉本家の養女であることは周知の事実だった。

凛香のような正統な令嬢の目には、彼女はただの偽物に過ぎなかった。